人口減少の局面では、多くの老朽化した公共施設の維持管理が困難であることは、これまで何度もお伝えして参りました。その中でも廃止され空き家となる施設の急増も大きな課題です。この点について私自身、これまでの一般質問や各委員会で様々な提言を続けて参りました。

今回は足利市としてはじめて募集をした未利用施設の民間への貸し出し事業が、一カ所ではありますが結実したというご報告です。

その場所は以前からその可能性を指摘させていただいていた「旧大久保分校」です。
□【勝手に遊休資産②】旧大久保分校
https://sueyoshi-toshihiro.com/?p=2583

戦前のレトロな平屋校舎(写真/折田利弘)

今回手を挙げていただいたのは「一般財団法人おもい・つむぎ財団」様です。契約と事業内容の概要は以下の通りです。

■事業内容/旧大久保分校を小さな美術館として活用し、若手アーティストの表現の場を提供するとともに、地域の学校や教育機関とも連携し、絵画教室の開催や課外活動受入などの地域の文化・芸術の発展に寄与する活動を行う 。
■契約期間/5年間
■賃貸料/293,040円(年額)
■スケジュール/
2022.1月下旬 賃貸借契約締結
2月初旬 改修開始
4月上旬 事業開始
■詳細⑴→https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/74580.pdf
 詳細⑵→https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/74581.pdf

昭和4年に建設された貴重な戦前学校校舎に、若手アーティストが集い、こどもたちの文化活動にも寄与する。更にはあしかがフラワーパークにも近く、新たな観光スポットになり得る活用が期待されます。

事業のイメージ

校舎の活用イメージ平面図

●未利用施設活用の課題
今回の未利用施設の募集は3カ所のみでありました。結果的にそのなかで手が挙がったのは【1カ所1事業者】だけです。更に多くの事業者や団体に手を挙げていただき、魅力ある活用をしていただくためにはクリアしなくてはいけない以下のような課題があります。

適切な募集期間(情報を受けて事業者が計画を煮詰める時間が必要)
関係法令の壁(都市計画や建築関連の法令に抵触する活用案の落としどころを探すことが必要)
届かない未利用施設の情報(市内外の施設を必要としている事業者、実績のある事業者等に情報を広く知らしめるため、民間のプラットフォームを活用する等の対策が必要)

他にもありますが、これらについて市の担当も認識を共有しているようですので、引き続き募集方法や支援の仕方をブラッシュアップしていただきたいと思います。先日発表になった保育所の統廃合による施設の廃止をはじめとして、今後さらなる未利用施設の増加が予想されます。引き続き、未利用施設の質の高い利活用による、賑わいの創出、歳入の増加を目指して提言を行って参ります。

今回の事業は多くの方々のおかげでここまで漕ぎ付くことができました。手を挙げていただいた事業者の皆様をはじめ、実現にご尽力いただいた関係各位に感謝申し上げます。ありがとうございました。


【過去記事】
□【勝手に遊休資産①】空き家対策を推進する行政が大きな空き家を残している矛盾
https://sueyoshi-toshihiro.com/?p=2566
□【足利市公共施設等総合管理計画】について~その1~
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=678
□【足利市公共施設等総合管理計画】について~その2~
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=690
□【足利市公共施設等総合管理計画】について~その3~
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=697
□【全員協議会】施設カルテの公表について
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=1276
□【全員協議会】大型公共施設更新に向けた財政指針の策定について
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=1826