衝撃的な内容の公共施設等総合管理計画。
では、今後どうすればいいのか。
 
その前になぜこのような状況に陥ったのか、考えて行きたいと思います。
 
言うまでもなく公共施設を作るのは市役所、決定するのは議会です。(※市管轄のもの)
市役所のトップは市長、議会を構成するのは市議会議員です。
 
つまり政治家です。
 
政治家は市民の皆さんの<票>により立場を保障されています。
<票>がなければ仕事ができないのです。
 
こういった新しい施設やインフラを作るといった議論は<票>が減らない、あるいは<票>が増える可能性が高いので政治家は喜んで進めます。
(※もちろん議論が起きることもあります)
 
「うちの地区に新しいホールができる!」
「あの川にようやく橋が架かる!」
 
それを決めた政治家の株は上がります。 → 次回の選挙で票が増えます。
 
その結果、右肩上がりの経済と人口増加を背景に全国各地で公共施設やインフラ整備が劇的に進んでいきました。東にあるなら西にも作ろう、第二体育館を作ろう、人口が増えたこの地区にも新しい学校を作ろうといった具合に。
更にそれに拍車をかけたのが、88、89年度の「ふるさと創生資金」以来の地方への補助金ラッシュです。○○福祉会館、○○文化会館など、全国各地に人口規模や将来人口ビジョンに見合わない(当時はそういった考えが薄かった?)箱モノが乱立していきました。
 
ですが、今は日本全体が人口減少の真っ只中です。
 
そんななかで、今を生きる私たちに残された公共施設の山は便利さよりも、負債という側面を如実に突きつけはじめました。
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老朽化し雨漏りをする、雨ざらしでサビがすごい、震災後コンクリートにヒビが入っている、耐震工事されていない、アスファルトがはがれて穴が開いている。
 
ですが、これらを全て直し維持するお金はないのです。
 
待ったなしの状況です。

公共施設の適正化、統廃合という議論も進めなくてはいけません。

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ですがこの議論は多くの反発をよびます。
今あるサービスの削減ですから当然です。
 
「そんなことより人口を増やすことを考えろ!」
「議員定数を減らせばいいんだ!」
「とにかく工業団地を増やして税収を上げろ!」
 
こういったご意見も聞かれます。
この議論は先ほどの「作る・増やす」議論よりも、政治家の<票>を減らすリスクが高い案件なので「取り扱いたくない」と思う方も少なくありません。
 
これまで触れず、蓋をし続けてきた議論です。
 
しかし今、私たちの代で進めなければ、この負債を私たちの子どもや孫の代に、より複雑化し深刻化した状態で引き継がせることになります。
 
つづく...