皆さんは「市役所に行く」と言えば、何を思い浮かべるでしょうか。引越や結婚、出産の届け、税金や保育の相談、最近だとマイナンバーカードの申請などでも行かれたのではないでしょうか。しかし、市役所の機能はこのような「窓口業務」以外にも沢山あり、それが様々な部局に分かれ毎日動いています。国民健康保険、自治会などの地域コミュニティ、生活路線バス、区画整理、産業団地、商業振興、観光振興、学校教育、スポーツ振興、歴史文化の保護活用などその業務は言い出せばきりがありません。市民から求められるサービスも多様化し、時代に応じた体制が整えられてきました。
そんな市民サービスの拠点が、地震による被害で使えなくなったらどうなるでしょうか。

昭和49年竣工の足利市役所本庁舎

今回、令和4年3月定例会一般質問において、「市民の命と生活を守るため市役所の更新の議論を早期に行うべき」と提言をさせていただきました。

足利市の市役所は昭和49年竣工の旧耐震基準の建物です。県内では佐野市、大田原市、小山市、鹿沼市と多くの市役所庁舎が建替えられるなか、「唯一建て替え等の方針が決まっていない庁舎」となっています。
平成25年に行われた、栃木県大規模建築物の調査では、震度6強以上の大規模地震で「倒壊または崩壊する危険性が高い」との耐震診断が下されています。幸い、東日本大震災のときには大きな損壊は無く現在に至っていますが、地震活動期に入ったとみられる日本において、いつ倒壊に繋がる地震が発生するとも限りません。

そこで、そのリスクをイメージできるように今回例示したのが、熊本地震で庁舎が損壊した宇土市のケースです。

地震で損壊した宇土市役所庁舎

宇土市本庁舎は1965(昭和40)年竣工で、足利市同様「倒壊の可能性が高い」との診断が下っていました。構造が複雑なため、建て替えを検討していた2016年4月14日、16日に熊本地震に襲われ、4階部分がひしゃげるという衝撃的な損壊を起こしました。地震発生が深夜であったため、人的被害はありませんでしたが、もし日中であれば多くの利用者、職員にけが人や死者が出ていたと思われます。
幸い、隣接する別館と福祉センターは損壊しませんでしたが、本庁舎が倒壊した場合、被害を受ける可能性があるため「立入禁止」となり、ほとんどの業務を市役所裏駐車場にテントを張って対応しました。必要となる書類、資機材、固定電話、PCなどが一切使えない状況下、災害対応という大きな仕事が加わり、市役所は大きな混乱に陥りました。
ある程度の業務ができるようになるまで、おおよそ1ヵ月かかったそうで、その間のあらゆる市民サービスはが遅延、停止などの大変な不便をきたすことになりました。

つづく...


【過去議事録・録画】
□令和4年第2回定例会(市役所庁舎)
https://ashikaga-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=340

【関連記事】
□平成28年熊本地震,豪雨災害 震災記録誌 越えていく 概要版
https://www.city.uto.lg.jp/d?q=2976dfc87b173a76b6c9711cd399be18.pdf
□【足利市公共施設等総合管理計画】について~その1~
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=678
□【足利市公共施設等総合管理計画】について~その2~
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=690
□【足利市公共施設等総合管理計画】について~その3~
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=697
□【全員協議会】施設カルテの公表について
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=1276
□【全員協議会】大型公共施設更新に向けた財政指針の策定について
http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=1826