足利市は「歴史と文化のまち」としてPRを続けてきました。その理由は、古代より文化が開け、中世には室町幕府を開く足利氏を輩出し、日本最古の総合大学足利学校が創設され、民謡八木節も全国に広まる等、多くの歴史と文化を生み出してきたからです。少し古い話になりますが、平成3年にはNHK大河ドラマ「太平記」が放送され、多くの観光客が訪れました。また、平成14年には足利市議会において「歴史都市宣言」も可決され、歴史のまちとしての理念を市民の代表たる議会が示したところです。

足利駅を降りて一番目立つ所に設置された看板

さてそんな足利市ですが、「歴史のまち」の看板とは裏腹に、大きく欠けているものがあります。それが「歴史博物館」です。

「えっ、足利に博物館ないの?」

と、市外の方は驚かれると思いますが、実は無いのです。あるのは美術館で、博物館と呼べる代物はありません。実際に文化財を保存、展示する公共施設は3カ所ありますが、全て既存の中古施設に入れているだけで、残念ながら歴史のまちの風格を感じることはできません。それぞれの施設について紹介します。

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①郷土資料展示室(東砂原後町1055)
■建築年/昭和41年
■機能/埋蔵物の展示・調査・整理
■用途地域/工業地域
■延床面積/926㎡
■年間利用者/約600人
■その他/清掃事業者の事務所、車庫を再利用
■施設カルテ/https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/63728.pdf

かなり老朽化が進んだ施設です。発掘された土器や墓石、瓦など多くの貴重な史料がケースに積まれて保管されています。保管というより詰め込まれている印象です。狭いスペースに簡単なガラスケースがあり、樺崎寺跡から発掘された「三鈷杵文軒平瓦」や「杮経」等が文化財クラスの貴重な品々が展示されています。
初めてこの施設に訪れ「歴史のまちのリアル」を見た方のほとんどが大変驚かれます。

その外観から展示施設だと気づかない方も

老朽化したトタンで作られた倉庫

議会でも国重文の可能性が指摘されている樺崎寺の埋蔵物


②月谷民俗資料室(月谷町1105)
■建築年/昭和45年
■機能/民俗資料の収蔵
■用途地域/市街化調整区域
■延床面積/459㎡
■年間利用者/なし(通常非公開)
■その他/廃校となった分校を再利用
■施設カルテ/https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/63730.pdf

こちらは通常公開されていない施設です。廃校となった分校の校舎に、市民から寄贈された民具などが保管されています。当時のポンプ車や舟、生活用品などが多くありますが、寄贈されるものには重複もあり、状態の良いものはふるさと学習・資料館に展示しているようです。そもそもこの施設の存在を知らない方がほとんどなのではないでしょうか。

通常は非公開となっている

外にはユニイースト?事務所棟の瓦が積まれている

つづく...

 

【過去議事録】
□令和2年第1回定例会(3月)(史跡足利学校等の防災・防火対策)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=2325
□平成31年第1回定例会(3月)(歴史や文化財の活用)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1941
□平成30年第3回定例会(9月)(文化財保存・展示施設)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1874
□平成29年第2回定例会(6月)(歴史文化財保存・展示施設)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1233
□平成28年第2回定例会(6月)(文化財の展示施設・閲覧システムの整備)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=779