日本に住んでいる以上、となり近所や地域との繋がりを持つ場面に何度も遭遇します。
旗当番のような子どもたちの見守り、お祭りや敬老会などの地域行事、ごみステーションの美化、災害時の連携など。アパート暮らしでも契約時に町内会費を徴収され、それが町内会活動に使われていたりします。
 
それと同時に「なんでこんなに仕事があるのだろう?」、「この仕事ほんとうに役に立つの?」など疑問を持たれている方(特に若い世代)がいることも事実です。
自治会やPTA、育成会、消防団、体育協会など実に多くの活動が存在し、人口が少ない町内だとすぐに役がまわってきます。
 
今回はそんな身近なはずだけれどよく分からない、「地域コミュニティの現状と未来」について、2回に分けてお話をしたいと思います。 

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■コミュニティは大きく分けて2種類
市長や市議会議員の多くは「足利市の市民力は素晴らしい」「市民力が豊かだ」など、足利の市民力(市民が自ら積極的に活動する力、あるいは行動力)について高い評価を述べられています。実際足利では様々なNPOやボランティア団体が存在し、多種多様な課題に対して積極的に携わっていただいています。
このような福祉、教育、文化などの分野ごとに結成された集団を【テーマ型コミュニティ】と言います。そしてもう一つが自治会(または町内会)のような、地域ごとに結成されている【地縁型コミュニティ】です。
 
町内ごとの自治会や育成会、老人会、学校区ごとのPTAや体育協会支部、または神社のまつりや行事を守り続けている総代会なども地縁型コミュニティです。
人口減少、税収減少のなかで「地域でできることは自分達でやる」という気概を持ち、様々な活動をしていただいております。


■自治会って
地縁型コミュニティの中でも、中心となっている自治会には多くの事業を担っていただいております。住民の親睦行事の運営、防犯灯の管理、自主防災活動、防犯のための見回り、ゴミ集積所の設置管理、あしかがみの配布、高齢者・こどもの見守りと、その事業は多岐にわたっています。普段何気なく生活の中に溶け込んでいる【当たり前】を支えているのが自治会なのです。
 
「地域でできることは自分達でやる」
 
これこそが住民自治の根幹です。
しかし、「そんなこと税金払っているのだから全部市がやればいい」という意見もあるでしょう。
 
では実際に市がやるとどうなるのか。
 
例えば、市広報紙あしかがみの配布を全戸配布するのにも多額の予算が必要です。
▼送料140円(定形外100gとして)×約64,000世帯×年12回=107,520,000円
 
例えば、お祭りのコーディネート、当日のスタッフをアウトソーシングしたら一体いくら必要になるでしょうか。
▼プロデュース・企画料100,000円+(当日スタッフ20名×日当10,000円)
 =300,000円  ※かける市内の祭りの数となると...
 
広報紙とお祭りだけを考えてもこれだけのコストがかかります。これを税金で賄おうとしたら自治体はあっという間に破綻します。
 
事業内容の重要性や人員の敵整数、または各組織の目的など時代に合わせて変化をさせていかなければいけないと思いますが、自治会のような地域のマンパワーをまとめる組織の必要性は、なんとなくおわかりいただけたかと思います。


■今後予想されること
今後人口減少に伴い行政が地域の諸問題に予算をかけられなってくると、自治会に対する期待と仕事は更に増えていくことが予想されます。
 
そんな足利の自治会は2015年4月のデータで89.5%という高い加入率で、栃木県内トップを誇っています。これって実は凄いことだと思います。
しかし現在、足利では65歳以上の高齢者の割合が30%を越え2025年には後期高齢者(75歳以上)の割合が20%に上る急速な高齢化という大きな課題を抱えています。
それに伴い、地域を支える自治会のようなコミュニティの維持が難しくなってくると考えられます。地域コミュニティの中心は会社を退職した中・高齢者層です。子どもたちも手を離れ、仕事も一段落した世代でなければ、団体の役はなかなかできないところがあります。そうした世代が今後更に高齢化します。実際に近隣では宇都宮市で加入者不足により、過去5年で4件もの自治会が解散・休止に追い込まれています。
 
また、世代間格差にも大きな問題があると考えます。
子育て世代の中には自治会の存在や役割がよくわからない方もいらっしゃいます。それどころか育成会やPTA活動にも理解をいただけない方もいらっしゃいます。こうした世代に対する情報提供や啓発は喫緊の課題です。
また、昔と違い共働き世代も増えていてお母さん方も忙しいわけです。1世帯あたりの年間平均所得も約20年で100万円程減っていて家計に余裕がなくなっています。こうしたことを考えると、20年前と同じ感覚、同じ制度設計で役や仕事を任せるのは無理があることは明らかです。
 
このままでいけば地縁型コミュニティは崩壊の一途を辿ってしまいます。今こそ10年後、20年後を見据えた対応策を考えていく必要があると考えます。
具体的な対策や提案は次回お話いたします。
 
「こんなコミュニティがあればいいな~」とか「こんな経験をした」といったご意見、または解決案などがありましたら、気軽にお聞かせください。
(※Facebookでもメールでも直接でも構いません)