過日、25年ぶりとなる足利市議会運営委員会の行政視察に行って参りました。静岡県藤枝市議会では議会改革特別委員会の皆様から、予算・決算に係る提言と事業評価などについて説明をいただいた。

まず圧巻なのは決算審査を重視し、1001事業に目を通し、その中から最終的に14事業を抽出して、徹底的に評価をしていることです。更には各委員の評価を取りまとめ、事業評価書とともに提言も提出しています。また、各常任委員会からは政策的な提言書も提出されています。そして、予算委員会で提言が反映されているのかを厳しく確認しています。様々な議会改革を学んできましたが、ここまで「機能強化」に力を入れた議会は多くないと思われます。
□令和6年度予算編成に向けて提言書(常任委員会)
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/material/files/group/68/R5jouninteigen.pdf

常任委員会からの提言書

さて、これを実現するために必要不可欠だったのが平成22年に当局がはじめた「藤枝型新公共経営」です。そのなかでも「全事業総点検シート」の導入により、各事業はブラッシュアップされ効果を上げてきました。いわゆる「事業仕分け」ではなく、全職員の当事者意識を持った総点検であるため、職員のレベルアップにも繋がっています。このシートを活かして、決算審査や提言書に繋げているわけです。
□藤枝型新公共経営
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/soshiki/kikakuzaisei/kikakukeiei/gyomu/npm/1445916862980.html

決算、予算、常任委員会のチェックサイクル

一般的にこういった事業評価は行政職員の負担が増えるため、導入は容易ではありません。本市も過去に「事業仕分け」が行われたことがありますが、ここまで徹底した総点検は行われていません。本市で導入するにはかなりのハードルがあると思いますが、範囲を限定して試行的に導入することは可能かもしれません。例えば総合計画の「重点プログラム」は当局、議会ともに注視しているものなので、点検を強める価値はあります。また、様々な意見が集まる議会において、特定の事業の評価をまとめることも容易ではありません。これについては「反復により合意形成能力が向上する」という委員のお話が印象的でした。

昨今の足利市議会は広報広聴活動に力を入れてきた経緯があります。「機能強化」にも今まで以上に目を向けて検討すべきだと、あらためて感じた視察でした。