2回目は足利市指定文化財「地蔵菩薩坐像」です。その姿から「黒地蔵」とも呼ばれるこの仏像も、前回の大日如来坐像と同じく光得寺蔵です。

お堂に長年納められておりましたが、劣化が激しく欠損する部位もありました。令和2年に羅漢工房の浦野潔氏により解体修理が開始されましたが、翌年2月に急逝されました。その仕事を県内に工房を構える三乗堂の方々が受け継ぎ、今回の展示に至りました。専門家の監修のもと、「今後の研究に誤解を生じさせないこと」等を優先し、修理が施されました。

修復前の地蔵菩薩坐像 (あどもいカメラマン 折田利弘 撮影)

写実的に作られた衣文表現は見事で、安定感のある体躯も含め慶派の特徴が見られます。お堂に納められているときと違い、間近にはっきりと見ることができるため、以前より迫力を感じました。当時の仏師と現在の職人に受け継がれた技や祈りを堪能できる文化財です。

□企画展(10月10日まで)
http://www.watv.ne.jp/ashi-bi/2022-Bunkazai.html
□足利市内の文化財(足利市HP)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/site/bunkazai/mokuzou-jizoubosatuzazou-koutokuji.html