足利市議会民生環境水道常任委員会の行政視察報告です。2日目は愛知県豊田市の「衛星画像とAIを活用した漏水対策」について、視察研修をさせていただきました
全国的に問題となっている水道管の老朽化による漏水。この課題解決に向け衛生画像を活用したAIによる調査において、先駆的な自治体が豊田市です。

漏水事例(豊田市ホームページより)

■2種類の漏水調査を先駆的に導入
豊田市は令和2年と令和4年の2段階で別の事業者による調査を実施しています。令和2年はユーティリス社(本社:イスラエル)による調査で、水の性質を衛生で分析します。従来であれば年間80km程度の調査しかできないものが、2,210kmの調査を可能にし、発見した漏水箇所も従来の69件から259件と大幅に改善がなされ、高い効果をあげています。

令和4年は(株)天地人、フジ地中情報(株)という国内企業による実証事業で、こちらは土壌環境や道路環境から分析します。こちらも3,663kmを調査し、77件の漏水箇所を発見しています。

共に高い効果を発揮しているものの、分析手法の視点が違うため、その長短を判断するのに時間が必要とのことでした。また、令和2年はパイロット価格であり、令和4年が実証実験であるため事業費がかなり低く抑えられています。今後、安定的に事業展開する上で、予算上の不確定要素となると思われます。更に、同分析技術の成果や課題がまだまだ研究途上であり、自治体がどのように実際の業務に落とし込んで持続可能な形にしていくかなど、まだまだ研究・分析が必要と感じました。

■今年から挑戦を始める足利市
翻って本市では、有収率(※1)が71.4%(令和4年)と、全国平均の90%を大きく下回る危機的状況です。そこで令和5年度より「AIを活用した漏水リスク調査事業」を開始することとなりました。本市の場合、道路環境、菅の老朽化、土壌環境などのデータから破損確率を分析します。坂西水系をモデル地区として調査してその効果を見定めます。
先ほどの豊田市の様に、海外企業技術の先駆的な導入や、国内企業の実証実験など、いわば業界の最先端から得られる情報は貴重です。今回は常任委員会の視察のため、本市担当課長に同行いただき、先方担当者との交流を深めることができました。様々な自治体や関係者から多くの問い合わせもあると思いますが、本市もこれを機に積極的に豊田市から情報をいただけるような関係構築を期待したいです。

※1…浄水場などから送り出している給水量に対し、家庭や企業等へ実際に届いている水量の割合。

令和2年と4年の調査の違い(豊田市ホームページより)