足利市議会民生環境水道常任委員会の行政視察報告です。初日は愛知県刈谷市の「高齢者支援の取組」について、視察研修をさせていただきました。

前提として、刈谷市は周辺の豊田市、豊川市などと同様に出生率が高く、高齢化率が低い国内では少子高齢化が比較的遅れている地域です。しかし、20年で高齢化率が7%上昇し、それに合わせ介護認定者も増加することが予想されていることから、早期に対応を検討されています。

■高齢者向けの配食サービスの取り組み
同サービスは配食サービスを通じて、見守りが必要な高齢者の食の自立を支援し、安否確認を行い、福祉の増進を目指しています。自宅に食事を届ける「一般食」と、病気療養などで食事に配慮が必要な方に、主治医の指示で食事を届ける「調整食」の2種類が用意されていることが特徴です。利用者の推移は一般食が増加傾向なのに対し、調整食が横ばいだそうで、そのあたりの分析も必要だと感じました。
本市では民間企業による見守りが必要な高齢者世帯への乳酸菌飲料を配布する「愛のひと声事業」と、地区社会福祉協議会のお弁当配達事業があります。大変ありがたい事業ですが、共にある種の善意に依存している側面あり、持続可能性については課題もあると感じています。逆に刈谷市の様に弁当代の半額と配達料を市が負担することも、人口減、税収減の中では容易なことではありません。この辺りは費用対効果を検証することが必要だと思われますが、乳酸菌飲料ではなく弁当である点、配達の頻度が多い点でどのような見守り効果があるのか、深掘りして調査したいところです。

配食サービスの事例

■高齢者交流プラザ
同施設は高齢者の健康増進や生きがいづくりなどの福祉増進を目指して整備された施設です。運動やフラダンスなどの各種講座の運営、世代間交流や敬老系のイベント運営を実施しています。利用者は年間約58,000人で、運営は刈谷市社会福祉協議会が受託しています。
本市には同様の施設に3カ所の「幸楽荘」あり、人口に比して施設数は多い状況です。使用料は刈谷市が無料に対し、本市は高齢者が100円となっています。財政力の違いもありますが、無料の乱発は慎重に考えるべきだと考えます。人口規模がほぼ同等の刈谷市「高齢者交流プラザ」の年間利用者が約58,000人に対し、本市「幸楽荘」は3カ所合わせて約80,000人(令和4年度)であることから、多少の使用料を設定してもある程度の利用者は確保できると推察できます。いずれにしても、本市の高齢者福祉施設のあり方について再考する機会になりました。多様かつ喜ばれるサービスを提供し、利用者を幅広く増やし、持続可能な経営形態を模索していきたいです。

高齢者交流プラザの様子