会派視察2日目のテーマは「道の駅ソレーネ周南の運営について」で、周南市農林課三戸晃児課長と施設の指定管理を受けている(一社)周南ツーリズム協議会の笹木大氏から、現地道の駅ソレーネ周南でお話をうかがいました。足利市でもかつて道の駅整備が基本計画策定まで至りましたが、現在は当時にくらべ減速しています。そのため再度、先行事例を調査する必要があり、今回の視察先選定に至りました。

大きなアーチ式の屋根が特徴的

山口県が整備した親水護岸は親子連れに人気

さて、このソレーネ周南ですが、平成26年にテレビ東京『ガイアの夜明け』で取り上げられ、私自身も偶然それを見ていました。その特徴的な運営に興味があり、楽しみにしていたところもあります。ソレーネ周南がオープンしたのは放送のあった平成26年です。建設総事業費約19億円(国負担6億、市負担13億※合併特例債含む)で、国道2号線沿いの田園地帯に整備されました。その特徴は「地域福祉を行う道の駅」というところです。そしてコンセプトに「生きがい支援」を掲げ、他に類を見ない地域福祉重視型の道の駅として有名になりました。まず、中山間地域の高齢者による農作物の委託販売です。一般的には農協などを通じて農作物を仕入れることがありますが、ここではそれを高齢者が担っています。耕作放棄地が増え、農業従事者の高齢化が顕著な中山間地域で、高齢者が積極的に農作物を生産し、それを道の駅で販売しています。値段付けや在庫管理をICTの導入で効率化し、「自分で作って売って喜ばれる」生きがいを生み出しています。毎朝の搬入時間は長い行列ができるそうです。また、「いきいきサポートセンター」という地域包括支援センター出張所のような役割を担う施設が設置されています。高齢者の健康管理、地域コミュニティの維持、相談などの機能を発揮しています。

 

地元の高齢者たちが生産した新鮮な野菜

以上のような点を見ていきますと、「売上重視」ではなく「地域福祉重視」となりますので、採算は厳しくなっていきます。そういった状況下、平成27年には約2000万円の赤字となってしまいました。そこで、ベンチャーでの経験があり、経営支援等をしてきた笹木氏が商工会議所から出向し、立て直しを図ります。オリジナル商品の開発、プロモーション、ETC2.0対象の休憩施設への一時退出制度試験的導入、バス停供用開始など様々な対策が功を奏して、平成29年には1500万円の黒字を計上しています。笹木氏の「生産者ももちろん大切だが利用者を大切にした経営をしていかなければ売上は上がらない」という言葉が印象的でした。地域福祉重視といえども売れない商品を並べるのではなく、売れる商品を作り上げていく姿勢に経営者としての理念を感じました。特徴的な運営に注目が集まる傍ら、その重みもあるように感じました。
 
いずれにせよあらためて感じたのは、経営者としての手腕と強い理念を持った方を柱に置くことは最低条件だということです。道の駅整備事業は国の負担分も多いとはいえ、多額の税金を投入する以上、稼げる道の駅、人を集められる道の駅を目指すべきだと思います。