前回は予算における議会の役割についてお話をさせていただきました。
今回はその役割のなかでも最も重要な監査機能(チェック機能)の課題について、お話いたします。
 
その前に、国会と地方議会(都道府県議会、市町村議会)の制度的な違いをお話いたします。
 
国会は【議院内閣制】です。
議会の最大会派から総理大臣候補が選出され、それを議員が選挙で選びます。国民が直接選ぶことはできません。ですので必然的に以下の図式が成り立ちます。
 
◎ 国会 <議会最大会派 = 総理大臣>
 
一方、地方議会は【二元代表制】です。
議員と市長や知事(以後首長)は、それぞれ直接市民が選挙で選ぶことができます。議員も首長も共に市民の代表なわけです。ですので選挙の状況で国会のような図式になるとは限らないので以下のようになります。
 
◎ 地方議会 <議会最大会派 ≒ 首長>
 
この二元代表制の考え方は、議会と首長はお互い車の両輪で、けん制し合う関係が市民のにとって良好であるとするものです。
首長を含む行政機関の仕事を、市民の代表である議会がしっかりとチェックすることで、暴走を防いだり、新たな視点から政策提案をする。それが二元代表制のあるべき姿です。
 
ですが、現実はそうではないようです。
 
多くの自治体では議会内で市長派、反市長派に分かれけん制し合っています。市長の議案は「何でも賛成!」「何でも反対!」といった議決行動も見られます。
本来けん制すべき相手は行政機関であるはずなのですが..。
 
また、議会内での内輪もめ(地域や会派、選挙、個人的な感情など)に終始してしまい、統一した意見を出すことができないこともあります。議員ひとりの意見と、議会全体での意見とでは行政機関の受けとめ方がまったく違います。(パワーが違います!)
「これは市民にとって普遍的な政策だ」と思えるようなものは、壁を乗り越えて議員間の連携をする必要があります。

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予算の話もそうです。
 
足利市で言えば行政職員約1100人で行っている業務内容を、24人の議員で隅々までチェックするには限界があります。それぞれの議員がバラバラにチェックしていては効果的な監査はできません。
そこで例えば、議員間で調整し得意分野で分担したり、持っている情報を共有することで、より精度の高い監査ができるはずです。
 
首長の好き嫌いといった短絡的な話ではなく、地方行政が健全に行われるためにも、地方議会が効果的に機能する必要があります。
議会が内部で喧嘩してるほど行政への監査能力は減退し、本当の意味で「市民の目がとどかない政治」になってしまいます。
 
このような課題は、多かれ少なかれどこの自治体にもある話です。この課題をクリアするためには柔軟な発想と、交渉力、大局的な見地などが必要です。
新人議員ではありますが、そういった課題を多くの方々と共有し、健全な政治を目指して努力を続けていきます。