令和元年東日本台風で足利市は死者1名、中等傷2名、被害総額約88億6000万円という大変な被害に見舞われました。その経験を糧に様々な防災対策の改善が行われていますが、今回はハザードマップが改定されました。

各地域ごとにマップが配布されている

足利市でハザードマップが初めて発行されたのは平成21年で、平成25年に改定されています。今回の改定は約6年ぶりです。全面改定に先立ち、令和元年東日本台風の被害の大きかった東部地区のマップのみ先行して令和2年に改定していました。様々な分野で改善が行われたため、それをマップに落とし込む作業に時間がかかったようです。

今回の改定のポイントは以下です。

⑴洪水浸水想定区域の河川が5から9へ
国や県が指定している河川で、一定の降雨により氾濫した場合の浸水想定を示したものが「洪水浸水想定区域」です。これらの対象河川を増やすことで、あらゆる河川の氾濫も想定したマップとなります。

⑵県が公表した浸水リスク想定図を反映
「浸水リスク想定図」は名草川、出流川、姥川など、⑴で国県が指定した以外の河川の氾濫時の浸水想定です。新たに栃木県が公表した多くの河川が反映されています。ちなみに令和元年台風で被害の大きかった東部の旗川、出流川、尾名川の想定図は令和2年以降に公表で、残念ながら間に合いませんでした。
□栃木県浸水リスク想定図
→https://www.pref.tochigi.lg.jp/h06/town/kasen/kaishu/shinsuirisk.html

⑶想定降雨を1000年に1度の大雨に
近年の激甚化する水害を鑑み、100年に1度から1000年に1度に想定を変更しました。渡良瀬川ですと434mm/72hを812mm/72hに変更されています。

⑷土砂災害警戒区域の増加
前回よりも区域が増加しています。特別警戒区域で言えば464から607箇所となっています。

⑸車中避難場所の表示
令和元年台風で多くの車が浸水被害に遭いました。また「近くに高くて頑丈な建物があるが、避難できない」という課題もありました、その対策としてコジマ電気様など4事業者と市が協定を結び水害時に車ごと避難できるようになりました。その表記がされています。
□詳細
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/page/okuzyop2.html

他にもたくさんの改善が見られた今回のハザードマップは、本当に良くできたものだと思います。「次の台風がいつ来るかわからないので早急に反映したい」というスピード感と、随時改善される防災対策を盛り込み役に立つ正確性の両方が求められます。全戸配布となると大きな予算がかかります。そこで細微な更新はネットで、大規模な更新は紙媒体でといった感じで、うまくバランスを取っていただきたいと思います。

ぜひ、令和元年台風の反省と改善を凝縮した改定版ハザードを皆様の命を守るツールとして役立てていただきたいと思います。

□足利市洪水・土砂災害ハザードマップ(全体)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/site/hazardmap/hazardmap-zenzu.html
□ハザードマップ(防災学習面)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/site/hazardmap/bousai-gakusyu.html



【過去議事録・録画】
□令和元年第5回定例会(防災行政について)
https://ashikaga-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=85

【過去記事】
□全5回【主張】台風19号の経験を生かせ!災害に強いまちづくりまとめ
https://sueyoshi-toshihiro.com/?p=2392