前回は全国の先進事例をご紹介しつつ、足利市で行われた社会実験により水辺空間の新たな可能性を共有できたことをお伝えしました。
そしてそれを踏まえ、事業開始が決まったのが「本町緑地のオープン化」です。渡良瀬橋と緑橋の間の河川敷にある本町緑地は、サッカーやラグビーなどに使われている緑地です。そこをオープン化(※1)することで、渡良瀬川を活かした賑わいを創出し、魅力あるまちづくりを進めます。

※1…地方の再生等に資することを目的として、営業活動を行う民間事業者が河川敷の利用を可能とする制度。

市が公表した位置図

現在、国交省が渡良瀬川の水害対策を目的に堤防を拡幅しています。その際に生まれる広くなった天端に店舗の設置を許可します。設置する事業者に対し、使用料の減免等をする代わりに、公園の維持管理を委託したり、公園設備を整備させたりするPark PFIと呼ばれる手法です。これにより増加する公園管理費を抑制し、新たな価値を生み出し、利用者の利便性も向上させます。

本町緑地オープン化のイメージ

大変良い事業だと考えますが、受け皿として募集をする側の行政職員の育成と、そのパートナーたる民間事業者の掘り起こしが重要だと感じています。そこをしっかりと掘り下げて準備をしないと、「募集をしたが手が上がらない...」「事業者が見つかったが利用者が少ない...」ということにも繋がりかねません。その辺りは常任委員協議会でも指摘させていただきました。

また、もうひとつの大きな動きは中橋の架け替え正式決定(https://sueyoshi-toshihiro.com/?p=2377)です。防災上の長年の課題が一気に動き出したわけですが、これは単なるインフラ工事ではなく、まちづくりの核となる事業だと考えます。まちのシンボルとなる橋でもありますが、以下の2点に大きな可能性を感じています。

(1)歩道・自転車道とする旧中橋に使えそうなスペースがある
(2)高架下にスペースがある

(1)については橋の上に仮設の店舗やイス・テーブルを設置して、川の流れを感じながら飲食ができるスポットを作ったり、JR足利駅と東武足利市駅を結ぶ自動運転専用路線にしたりと様々な可能性があります。
(2)は北側の高架下に比較的自由に使えるスペースがありますので、そこに新たな賑わいを作るテナントやイベントスペースなどの検討ができます。

歩道・自転車道となる現中橋

JR秋葉原駅と御徒町駅間の高架下を利用した2k540 AKI-OKA ARTISAN

以上はまだまだ構想段階ですが、本町緑地同様に「ただ場所だけ用意すれば良い」というものではありません。そこにしかない、そこに行きたいと思わせる魅力的なコンテンツが必要です。「北関東初進出の○○」とか「足利でしか体験できない▲▲」といったものをあてがうためには民間の発想とノウハウは必須です。

そのためにも「公民連携」の体制強化を行政と民間の両面から進めなくてはいけません。

3回にわたり色々とお話をしましたが、多くの皆様のご協力で渡良瀬川には良い風が吹き始めました。この風に乗り、魅力ある足利を作れるようにこれからも提言、議論を進めてまいります。

皆様のご意見などありましたら、気軽にお聞かせください。

□関連記事
中橋が3連アーチを維持して並立整備へ
→ https://sueyoshi-toshihiro.com/?p=2377
【視察報告】ミズベリング信濃川やすらぎ提事業
→ http://sueyoshi-toshihiro.com/?p=1178
【渡良瀬川の利活用・中橋リバーサイドシネマ】について
→ https://sueyoshi-toshihiro.com/?p=1654

□過去の議事録
H29.3渡良瀬川の活用について
→ http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1108
H29.12 渡良瀬川の活用について
→ http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1550
H31.3 公共施設・公共スペースについて(公民連携)
→ https://ashikaga-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=30

□参考
2k540 AKI-OKA ARTISAN
→ https://www.jrtk.jp/2k540/