足利市は国内でも早い時期(昭和6年供用開始)に水道が整備されました。安全な水を確保することはもちろん、防火用の水源としても期待されていたそうです。過日、上記2施設について、あらためて視察をしましたのでご紹介します。

水道の仕組み


■今福浄水場
足利はダムや川ではなく、すべて井戸や集水埋渠から組み上げた地下水を利用しています。その水を汲み上げ、最低限の消毒を行っているのが「浄水場」です。今福は市内最古の施設で、老朽化も課題となっています。こうした浄水場は市内に9カ所整備されています。

モダンなデザインの今福浄水場

設備は更新されているが建物は旧耐震基準


■緑町配水場
浄水場から組み上げられた水を高い位置にポンプで上げ、そこから水を送り出すのが「配水場」です。山の上に整備したり配水塔で代用したりします。旧事務所は水道祈念館として残されており、昭和9年の昭和天皇が御座所として貴賓室が増築されています。こうした配水場は市内に10カ所整備されています。

昭和天皇の御座所となった旧事務所


これらの2施設は、建物のデザイン性や歴史的意義から国登録有形文化財に登録され、土木学会選奨土木遺産にも認定されています。

人口減少に伴い水道の使用量も減少しています。これまで整備してきた多くの施設をすべて維持していくことは困難で、効率的な整備や統廃合が重要な課題となっています。具体的な試算はまだ出ていませんが、正確なデータをもとにしっかりと議論していきたいと思います。