だいぶ経過してしまいましたが、2年前の視察について報告いたします。
(市議会HPには掲載済)
総務企画防災常任委員会で訪れたのは湯河原町の万葉公園です。同事業は民間企業と連携し、老朽化した既存公園の設備を全体的に整備し、町の活性化に繋げた事例です。今回の視察で強く感じたのは以下の3点です。
・「コンセプト」がしっかりしている
・「デザイン性」が高い
・「結果」を出している
まずコンセプトですが、これまでの経緯を聞くとステークホルダーとなる住民等と「湯河原の温泉場をどうしていきたいか」というテーマについて、時間をかけ深く議論されていました。場当たり的な公共空間整備ではなく、このまちの課題とこれからの戦略等を協議会などで深掘りをしていたようです。そこから生み出された「知の温泉場」という基本コンセプトに基づき、まちなみ景観づくりを推進し、その核として今回の万葉公園の再整備にたどり着いたとのことです。
次にデザイン性ですが、川や植物など公園の豊かな自然を最大限生かし、それに溶け込ませるような建物、設備、ランドスケープのデザイン、素材選定には強い拘りを感じました。つい写真を撮ったり、ゆっくり読書をしたりしてみたいと感じさせる空間になっている。
最後に結果ですが、今回の事業はそもそも温泉場の活性化を目的としていました。観光客の減少により観光産業が衰退し、万葉公園の設備も老朽化しサービスも低下していました。湯河原の観光には「昼間のアクティビティが無い」という課題がありました。これまでのまちなみ整備と併せ、今回の万葉公園の再整備により、あまり町を訪れなかった若年層が増加しました。更に温泉施設から出なかった観光客が散策にするようになり、経済効果も上がったそうです。また、公園の維持管理費も年間で約780万円削減できました。ちなみに同再整備の総事業費は約11億円ですが、街なみ環境整備事業やParkPFIを活用し、市の一般財源からは1500万円の拠出で済んでいるところも見逃せません。お金を掛けず民間と連携して公共スペースを整備し、まちのブランドを高め、観光・経済関連の課題を解決できた好事例だと感じました。
本市もPark-PFIを本町緑地で導入していますが、同緑地を含めた渡良瀬川の水辺空間をどのようにして、どう人を呼び込んでいくのか。コンセプトや戦略を住民等と作り込む必要があると再認識しました。そのうえで、足利市の渡良瀬川だからできる公園の利活用を参入事業者と共に作り上げていくことが、成功への条件ではないかと考えます。
□湯河原惣湯
→https://yugawarasoyu.jp/
□国土交通省資料
→https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/content/001513919.pdf