今回の一般質問の一部内容を掲載いたします。
具体的に動きや成果があったもの、はじめて明らかになったものを中心に掲載しておきます。

※当局の答弁は質問をしながらメモをとったものですので、正確なものではない場合がございます。詳細は後ほど議事録でご覧ください。


■歴史・文化行政について(組織改正、文化財の活用)

【組織改正】
●末吉:「文化財一斉公開」は文化課が事務局となり、市内60ヵ所をこえる会場で、通常非公開の文化財を秋の2日間にわたり一般公開するもので、市内外から高い評価を得ています。しかしながら、神社仏閣などの観光地化や経済活動への展開など、観光まちづくりまで手が及んでいない印象がありました。観光振興課はデスティネーションキャンペーンなどに合わせ、独自に一斉公開事業を展開してきました。この通り、同じような事業をそれぞれで独自におこなってきた経緯があります。そこで、今後の両課連携の手始めとして、文化財一斉公開について、今後のあり方や運営方法などを協議してはいかがでしょうか。

△観光産業部長:ご指摘のとおり、両課でそれぞれ独自に行ってきた点もあります。今後は、その実績や経験を活かし、両課連携して文化財を活用したまちのにぎわいの創出等について協議していきたいです。次回以降の公開のあり方を引き続き、教育委員会をはじめ、関係部署と連携を図っていきます。

【文化財の活用】
●末吉:私が個人的に観光まちづくりのポテンシャルが高いと考える市有文化財は以下であります。
⑴猿田河岸の船問屋 萬屋が築いた物外軒とその庭園。
⑵足利を守り抜いた文人画家田崎草雲旧宅、通称白石山房。
⑶足利織物を世界へと発信した県指定文化財の旧木村輸出織物工場。
⑷足利の名誉市民である木村浅七元市長の邸宅
です。
物外軒を例に現状をお話ししますと、毎年の歳出は200万円前後で維持保全に使われています。一方歳入は茶室の使用料のみでH30年は2万2千円で、毎年約190万円の赤字です。そのため適正な管理できない状況が続いています。歳入がない、維持管理費がかけられない、公開を縮小する。まさに負のスパイラルです。この状況で本当に次の世代へ貴重な文化財を引き継いでいくことができるのでしょうか。
そこで、この状況を打開するために、民間から提案をいただき、新たな歳入を生み出す方法を模索する必要があると考えます。例えば那珂川町の飯塚邸のように、一棟貸しのホテルに改修したり、カフェやレストランとして活用したりして、継続的な賃料をいただく方法も考えられます。
また、木村輸出織物工場を社会教育施設の規制から外し、市民プラザの様に貸し館業務を可能とすることも有効と考えます。県指定文化財で演奏や演劇ができるというのは、歴史都市足利ならではの強みになります。
まずは市として、活用の可能性がある市有の歴史資源を洗い出し、関係課との意見交換等を行ってみてはいかがでしょうか。

△観光産業部長:市が所有する文化的価値のある施設の活用は、民間所有の施設に比べて、取組がしやすいです。具体的な利用可能施設について、関係課と意見交換しながら洗い出しをしていきたいと考えます。物外軒のように民間利用と親和性の高い施設については、新たな集客の方法を検討していきたいです。

●末吉:歴史ある資源を持続可能な形で未来に繋いでいくためには、歳入を得るための「活用」と共に、その価値を客観的に評価する「価値付け」も重要と考えます。しかし、国指定以下の県、市の文化財となりますと、修繕や改修に規制があり、利活用がしにくいという課題があります。そこで、未指定の木村邸と、先日活用が始まった旧大久保分校の、登録有形文化財への申請をご提案いたします。登録文化財であれば内部や一部外観の改修も可能であり、「活用」と「価値付け」を両立することができます。

△教育次長:登録されるには、事前調査や関連資料収集、文化庁調査官による現地確認を経て、文化庁に申請書を提出し、国の文化審議会での審議を受けるという様々な手続きが必要になります。今後、市の活用方針をはじめ、登録文化財とすることの意義について、建造物の専門家のご意見も伺いながら研究していきます。



まずは文化課と観光まちづくり課が同じフロアになった事は大きな一歩です。少しずつかもしれませんが、確実に風通しは良くなり、連携が進んでいくと期待しています。その手始めとして「文化財一斉公開」の連携を提言し、市有文化財の活用と登録文化財への申請を提言しました。
「歴史資源を活用した観光まちづくり」は足利市の命題です。一気にはできないかもしれませんが、その機運を上げられるよう尽力して参ります。