●自治体DXで何が良くなる
例えば、RPA(Robotic Process Automation)により今まで市役所の正規職員がやっていた単純作業(申請書のPC入力、データの集計など)を自動化することで、空いた時間を人にしかできない業務に傾けることができます。「職員が足りない」と言っていた役所においてその問題は解決し、さらには業務の質の向上に繋がります。
市民の視点では、オンラインで簡単に申請ができたり、一カ所の手続きで関連部署での申請が簡略化できたり、待ち時間なく相談ができたりと可能性は無限です。
●自治体DXを進めるには
2021年12月議会で私が主に提言したのは「外部CIO補佐官の招聘と権限付与」「推進計画の策定」の2点です。
足利市デジタル推進本部では副市長がCIO(最高情報統括責任者)となり、CIO補佐官を情報政策課長が努めます。その他に専門職の外部CIOを招聘し、的確なアドバイス等を要請することが必要です。その人選がDXの成否を分けると言っても過言ではありません。更には部署の縦割りを排し、一体的にDXを推進するために副市長直轄にするなど、一定の権限が必要です。
計画的且つ効率的に事業を進めていくための根拠と原動力として「推進計画」を策定する必要があります。この点については「(仮称)足利市デジタル戦略」の策定を進めているとのことで、あとはそれを実行するための体制強化と意識改革が求められます。
中核都市以上の自治体と違い、多くの地方自治体にはAIやICT技術に特化した職員は残念ながら少ない(あるいはいない)のが現状です。そうした中で、今までに経験したことのないようなDXという大きな変革を乗り超えていくのは容易ではありません。核となる部署が外部からの知見を最大限吸収し、各部署の自走をプロデュースしていく。同時に役所全体の意識やスキルも底上げしていく。
その結果、業務を効率化することで生まれるアップデートされた(市職員にしかできない)仕事ができるようになります。それが市民福祉の向上に繋がると考えます。
自治体のDXは民間企業に比べ格段に遅れています。この遅れを取り戻し、新しい時代に適した働き方、サービスの在り方の変革を実現できるように議論を続けて参ります。