では実際にどのようなことを考えるべきなのでしょうか。将来持続可能な公共施設マネージメントを考えるうえで必要なことを4点示してみました。
 
(1)目標を定める
まずは施設数、延床面積の目標を決めることです。「○○年までに延床面積を○○%削減する」といった具合に。
(例/下関市20年間で延床面積30%削減目標)
この目標に向かって逆算をして議論をスタートします。おぼろげに「整理・統合していこう!」というだけでは話が前に進みません。行政や議会だけでなく、この目標とその理由は市民全体で共有する必要があります。
ちなみに足利市公共施設等総合管理計画では、今の市民一人当たりの施設規模を維持するには30%の施設総量削減が必要だと示していますが、目標は示されていません。
 
(2)客観的な評価をする
客観的という部分が非常に重要です。
この評価をする組織の構成員は、できれば外部の方や専門家が望ましいと考えます。各分野の代表や、各地域の代表が揃うとどうしても自らの施設を守るという考えが働き、議論は平行線をたどります。(※もちろん事前にヒアリングなど十分な協議は行います)
そもそも絶対量が人口規模に対して多くないのか、この施設は本当に市民に必要とされているのか、複合化したほう利用者が増えるのではないか。こういったことを冷静かつ俯瞰できる評価委員会のような組織が必要だと考えます。
 
(3)遊休地を利用する
民間企業なら使える土地は売るか貸すか、新事業を展開して何らかの利活用を考えます。しかし自治体の場合、それを放置することがあります。これらの財産を効果的に活用し、維持経費をまかなう歳入を増やします。自治体だからといって土地を貸したり、店舗を誘致してはいけないわけではありません。
例えば公園の有効活用です。札幌の大通公園のようにイベントを仕掛けたり、来園者や通行者向けにビール販売店などにスペースを貸し出し賃料を徴収します。また有名店や人気店を誘致して公園の魅力を上げて更なる集客を進めます。(例/世界一美しいスタバで有名になった富山環水公園)
足利でいえば公園ではありませんが競馬場跡地があります。あの土地は現在、芝生広場として暫定的に使われていますが大規模病院のとなりに立地し、広大な面積を有しています。とてもポテンシャルの高い遊休地であることは言うまでもありません。

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(4)広域共同利用を考える
市町村合併が進む中、公共施設の広域利用も議論しやすい環境になってきました。特に斎場、ゴミ処理施設、し尿処理場などのいわゆる迷惑施設と呼ばれるものは広域利用に向いていると言われます。無理に各自治体で一施設作らずともお金を出し合って、まちの間に作ってもいいわけです。
 
このように、
まずは目標を定める →
客観的な現状評価 →
稼げるところは稼ぐ →
作らなくていいところは作らない
という考えが基本になると思います。
 
人口が減り経済が縮小する中で、「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」の議論へ移行していきます。議論の前提には議会、庁内、市民への【周知と啓発】が必須です。
まずは議論の素地として、現状を正確に知ってもらうことからはじめなくてはいけません。
 
どうしても統廃合や適正化といういのは、
「身近な施設がなくなる」→「地元の衰退」
というマインドにつながりやすい課題です。
 
マイナス面だけではなく、利便性向上、相乗効果、当該エリアの資産価値向上、財政健全化などプラス面もセットで議論すると、前向きなマインドもでてくると考えます。

市議会議員としても積極的に議論し【周知と啓発】を行っていきたいと思います。