(※平成29年3月議会において一般質問実施)
 
足利市の観光業界は活気に満ち溢れています。けん引役のあしかがフラワーパークはCNNが選ぶ「世界の夢の旅行先10カ所」や、イルミネーションアワード1位にも選ばれ年間約150万人の観光客を集めています。足利学校は平成27年に日本遺産に認定され、来場者も増えています。また、鑁阿寺本堂の国宝指定、刀剣ブームで空前の賑わいを見せた「山姥切国広展」、恋人の聖地として毎年参拝者が増えている織姫神社など様々な要因で、25年ぶりに入込観光客数も400万人を超えました。
 
そんな足利観光の課題のひとつが「滞在時間の短さ」です。東京から日帰りで来られる距離であること、温泉街などがないこと、夜の観光スポットが少ないことなどが主な理由です。滞在時間が短く、日帰りの観光客比率が高いと、宿泊に比べ経済効果は大幅に落ちてしまいます。
少し古いデータですが、あしぎん総合研究所の2013年栃木県内の調査では以下のように示されています。
 
【県外居住者一人当たりの観光消費額】
宿泊客 29,622円
日帰り客 10,597円
 
観光地としてもう一歩ステップアップし、経済効果を拡大し、更なる雇用を生み、税収を上げていくためにも観光消費額約3倍の差を埋めることはとても重要だと考えます。
 
また、別の課題として「直接的に観光客の恩恵を受ける人や地域が限定されている」こともあげられます。足利にはフラワーパーク、足利学校、鑁阿寺と代表的な「ザ・観光地」があります。それがゆえにポテンシャルはあるが日の当たらない、ポテンシャルに市民が気づいてない観光資源がたくさんあります。これらに日を当て磨き上げることで、市内各地に観光客が訪れ、経済効果を波及できると考えます。
 
以上2点について今回は「渡良瀬橋」を例に観光活用について考えていきます。
 
渡良瀬橋は昭和9年に完成したトラス橋で、橋脚は明治35年のものが今でも使われている歴史ある近代化遺産です。平成5年に森高千里さんが「渡良瀬橋」をリリースすると、一気に知名度が全国区となり、連日観光客が訪れています。
 
私はこの渡良瀬橋を観光資源として更に磨き上げることで、より多くの観光客を集め、足利のイメージアップにもつながると考えています。そのためには観光地としてホスピタリティの改善が必要です。
 
1.サイン・看板の設置
渡良瀬橋の魅力は夕日です。その夕日と橋を同時に美しく見ることができる堤防上に「渡良瀬橋歌碑」が設置されています。観光客の多くはこの歌碑を目指して訪れます。サインは観光客が現場にたどり着くために必要不可欠な設備です。お城やタワーのように目立つものであれば結構ですが、対象が小さく目立たないものであれば、初めて訪れた方は見つけられません。現在、渡良瀬橋の歌碑には「ここにあります!」と誰もが分かるサインがないため、多くの観光客が橋の周辺を右往左往していると聞きます。
最低限、歌碑を示すサインを、そしてできれば渡良瀬橋への誘導サイン設置を検討すべきと考えます。

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渡良瀬橋歌碑には看板がなく見つけにくい


 
2.駐車場の整備
やはりこちらも観光地として必要不可欠なものですが、現在歌碑周辺に駐車場はありません。観光客のほとんどが車を道路端に駐車し、後続車や周りの目を気にしながら写真を撮っています。とてもテレビのように優雅に夕日を眺めるどころではありません。
堤防の上という設置が容易ではない場所ではありますが、堤防の内側へ天端を拡幅したり、堤防の北側の空き地を利用したりするなど、検討の余地はあるのではないでしょうか。車1台か2台程度でも有効だと考えられます。サイン設置と同時並行で検討すべきと考えます。

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歌碑は渡良瀬橋の撮影スポットにもなっている


 
3.パンフレットのリニューアル
渡良瀬橋歌碑のパンフレットは森高さんのファンの方をはじめ、歌碑を見にくる方に人気があると聞いています。ですが、パンフレットは歌碑除幕式が行われた平成19年頃のままだそうです。輝き大使就任、JR・東武両駅発着メロディの導入、渡良瀬橋の歌詞にも出てくる八雲神社の再建(※平成24年に焼失)を記念して、より魅力的なものにリニューアルして再発行すべきと考えます。できれば、渡良瀬橋や中橋自体の解説も掲載して、橋の価値も知ることができる内容が望ましいと考えます。

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ファンの間で人気の現在配布されているパンフレット


 
1と3については大きな予算はかかりませんが、2については土地を借りるまたは購入する必要があるためある程度の予算が必要です。場所をどこにするのかにもよりますが、堤防にかかる場合は管理者である国土交通省、県道にかかる場合は栃木県との調整も必要です。これまでに市がどのような方法があるか検討した経緯がないようですので、まずは国・県と協議し、積極的に検討していただくことを望みます。
 
このように観光客が訪れやすく、不満なく楽しめる観光地に仕上げていくことで足利市の新たな資源が完成していきます。まだまだ生かされていない観光資源を積極的に磨き上げ、市内各地が観光客で賑わう観光立市足利を目指し、今後も議会で提言して参ります。
 
※3月議会ではそれぞれ「関係機関と協議する」との答弁がありました。