(※平成29年3月議会において一般質問実施)
 
前回は「直接的に観光客の恩恵を受ける人や地域が限定されている」という課題に対して、渡良瀬橋を例に新たな観光資源開発を提言させていただきました。
今回はもうひとつの課題「滞在時間の短さ」に対して、渡良瀬橋を事例に考えていきたいと思います。

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夜景遺産の「織姫公園・織姫神社からの夜景」 写真/折田利弘

 
まず、前回お話しした通り滞在時間が短いと観光地としての経済波及効果は大きく減少します。足利市の日帰り観光客の割合は以下です。
 
【足利市全体】
84%(足利市観光協会H21年4月~7月)
【あしかがフラワーパークの観光客】
84.4%(あしぎん総合研究所H28年8月)
 
調査年代に差はありますが、フラワーパークも市全体でも変わらない結果となっています。
この現状を打開するために現在、市が推奨しているのが「夜景観光」です。市内にライトアップやイルミネーションを仕掛けたり、夜景の見えるポイントを紹介したりして夜も滞在したくなるまちを目指しています。本年10月には、自治体やその他関係者約500名が集う「夜景サミット」が、ここ足利で開催されます。夜景サミットホスト市として、さらなる夜景観光資源となりうる渡良瀬橋のライトアップを検討すべきだと考えています。 

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織姫神社のライトアップ 写真/折田利弘

 
他市の事例では栃木県那須塩原市の「晩翠橋」、福島県喜多方市の「一ノ戸川橋梁」、新潟県新潟市の「萬代橋」などが有名です。「一ノ戸川橋梁」は明治41年に完成した鉄道用の橋で、ライトアップして観光地化したことで年間約8,000人の観光客が訪れるようになりました。
 
事業費は一般的な照明器具設置で300~500万円程度です。財源としましては今年度、国の地方創生推進交付金を活用して、夜景観光開発事業(事業費1,100万円)を実施することになっています。同予算は「夜景サミットの開催経費や夜景による観光資源の開発」を目的としていますので、渡良瀬橋ライトアップに充当することは可能と考えられます。もし不足するようであれば、市民の誇りである渡良瀬橋ですので、市民や企業から寄付を募っても反響は大きいはずです。
また、ランニングコストも期間限定(GWやクリスマス、年末年始など)であれば年間数十万円程度ですみます。
 
事業の実施主体である「足利灯りのある街づくり実行委員会」と協議を行っていただき、前向きに検討していただきたいと考えます。また、実行委員会には著名なライトアッププロデューサーの方も顧問になっていただいているようですので、魅力ある夜景観光資源を設計していただきたいとも考えます。
 
渡良瀬橋は日中も近代化遺産として価値ある姿を見せてくれますが、夕日に浮かぶ姿はさらに魅力的です。そして夜のライトアップも加われば昼→夕方→夜と確実に観光客の滞在時間を延ばすことができます。また、夜景遺産に認定された織姫山からの夜景に渡良瀬橋が加わることで更に、魅力を増すことは間違いありません。

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中橋のイルミネーション

 

新たな観光資源として渡良瀬橋のホスピタリティを向上させることで観光客の回遊ルートも増える、ライトアップすることで夜景観光資源として滞在時間も伸ばすことができる。そんな渡良瀬橋の可能性を放置するのはあまりにももったいないと考えておりますので、今後も積極的に提言して参ります。 

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夜の渡良瀬橋は車のライトがないと暗い

 
※3月議会ではライトアップに関して「ライトアップに関しては付加価値を高める手段と考える。照明設置については関係機関と連携し検討する。」との答弁がありました。
 
※写真提供/折田利弘(織姫神社・織姫山からの夜景)