遅くなってしまいましたが、教育経済建設常任委員会の視察報告をさせていただきます。
(※足利市議会HPでもアップされる内容よりも長文です)

初日は佐倉市の「民間プールを活用した水泳授業の民間委託」について、佐倉市教育委員会指導課と総務課施設班の方から説明をいただきました。
まず、今回の民間委託のきっかけは全国の自治体で問題になっている公共施設(今回は学校プール)の①老朽化・耐震問題と、②震災による節電対策でした。


①老朽化・耐震問題

対象となった佐倉小学校のプールは市内でもかなり古く、市内全34校のプールを同規模で維持するためのコストと、民間委託のコストを試算しました。結果、全ての小中学校で民営化を実施すれば30年でライフサイクルコスト13億6千万円のコストダウンができることが判明しました。

②節電対策
また、学校プールの消費電力量が多い事実が判明したことも大きかったようです。原因はプールの循環ろ過ポンプを24時間連続運転していたためだそうで、このデータの“発見”がプールの議論を本格的にすすめるきっかけになりました。(ファシリティマネージメントの見える化)

 

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循環ろ過ポンプのコストが分かりやすく示された

 

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民営化による利点は学校・家庭ともに大きい

 

また、質疑の中で我々議員が心配するような住民の反対、クレームなどの課題は、現在のところはないとのことでした。ただ、歴史のあるまちは比較的、住民の理解を得るための時間が必要になる傾向があるようです。
民間施設の受け入れ限度や、地理的な問題から全校実施による13億5千万円のコストダウンは簡単ではないようです。◎専門的な指導が受けられる、◎泳力による指導ができる、◎天候に左右されない、◎教員の負担軽減になる、◎維持修繕費の削減になるなど多くのメリットが示すように、本市でも検討の余地はあると感じました。

私としては、この事業は公共施設マネジメントを、子育て世代や学校を抱える地域全体で考える重要な<きっかけ>にできると感じました。

「これだけの施設を維持するにはこれくらいの費用が掛かる」
「こういったやり方ならこんなメリットがあって費用を削れる」

といった具合に自分たちの生活に身近なところから、行政、議会と一緒に考える市民が増えるのではないかと期待するところであります。

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副市長直轄の組織「資産管理経営室」の存在

 

それともうひとつ、大変興味を持ったのは公共施設マネジメントを行ううえでの組織体制です。
副市長直轄の部署として「資産管理経営室」があり、室長は議会にも参加します。そのため権限や独立性が確保されています。(※足利市は財産活用課があるが議会には出られない)
しかも建築、設備、土木の技術者や、法律、財産管理の専門家など、なんと34名体制という大所帯。各部署とも風通しの良い関係を維持していて、プール民営化に関してもまめに意見交換をしていたそうです。
また、近隣の八千代市、四街道市、酒々井町などと公共施設の設置・運営についての協議もしています。

今回はプールの民営化にスポットを当てた視察でしたが、公共施設の今後を考えるうえで、まだまだ参考にしたい部分が多いと感じました。

(※資料/佐倉市)