■これからどうすべきか
これらの現状を打開するためにどうするべきか、議会でも以下のような提案させていただきました。
史跡保存整備事業は区画整理と同じように、多くの時間と税金を必要とします。一朝一夕でできないため、まずは優先順位を決めて、できるところから確実に前進させることが重要だと考えます。
そのなかでも優先すべきは【市民の生命と財産を守る】ということです。
歴史のまち足利の市民が、歴史によって振り回され危険な目にあうということは、あってはならないことです。公有化交渉が進んでいない場所と、現在居住している住民の方々との交渉を分けて考えるべきです。住民の生活から危険を取り除くことが行政の使命であることは周知の事実です。
 
◎居住している住民の方々との公有化交渉を最優先に進めるべき
 
これまで、この事業には2億6000万円(国補助1億9000万)の予算がつぎ込まれてきました。国費といえども私たちの税金です。国として史跡に指定し、市としてこの遺産を保存整備し活用していくと決めたからには、しっかりと責任を持って事業を完遂する義務があるはずです。
 
◎粘り強く公有化交渉を行う
◎国県と連携し予算を確保し保存整備を毎年確実に進める

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■今後の流れ
平成27年9月議会で一般質問をさせていただき、多くの地元、関係者の皆様にご尽力いただきました。その結果、行政が訴えを聞き入れ、平成28年度予算に藤本観音山古墳保存整備事業4,320万円が計上されました。4年間停止中だった公有化事業が再開し、地元の方々が安心して移転先を検討できるようになりました。
現段階での公有化率は50%(H26年)ですので、1年や2年では事業は完了しませんが、着実に前進することができました。
 
■まとめ
足利に限らず、全国の地方都市で休止状態の史跡保存整備事業や区画整理事業はたくさんあります。人口減少、経済縮小で方針を見直す視点ももちろん必要です。そんな判断を迫られたとき、最も優先すべきは安心安全な生活を守る事です。
そしてもうひとつはまちの個性を大切にする事です。全国一律どこのまちも同じでは、個性がなくなりそのまちの存在意義は薄れます。足利は歴史と文化のまちです。歴史と文化こそ足利の個性であり、足利の強みであるはずです。
 
強みを伸ばし個性のあるブランド都市足利を再構築し、観光誘客を進め、経済を活性化させます。更には市民の郷土愛造成に寄与し、UIJターンも促すことができます。
藤本観音山古墳保存整備事業を前進させることで、そういったまちづくりを進める大きな一歩を踏み出すことができるはずです。