視察2日目は、V字回復を果たした静岡県熱海市の観光についてです。
熱海市は1960年代から1970年代にかけて、新婚旅行や社員旅行のメッカとして年間500万人を超える年間宿泊客数を誇っていました。観光地間競争が激しくなり、バブル崩壊や伊豆半島群発地震等の要因により、年間宿泊者数は過去最低の236万人(H23年)まで落ち込みます。そこから様々な手法でV字回復を果たします。コロナ禍で過去最低宿泊者数記録を153万人(R3年)まで更新しましたが、現在再度のV字回復を見せています。
足利が学ぶべき点は沢山ありますが、特に関心を持ったものを4つ記しておきます。
■危機を契機に立ち上がった民間
人口約34,000人、高齢化率48%の熱海市は人口減少による財政状況が厳しい状況にありました。H18年に初当選した齊藤栄が「財政危機宣言」を発表します。これにより「自分たちでやらなくては」という主体性が民間側で高まったそうです。花火大会や熱海ブランド等の様々な事業が、民間主体で盛り上がっていきました。
■徹底したマーケティング
熱海市はJTBと「交流人口及び関係人口拡大の推進に関する包括連携協定」を締結し、徹底したマーケティングとプロモーションを行いました。その中で課題を洗い出し、実態を正確に把握するため、実態調査を行いました。精度を高めるために相応の事業費を投じたそうです。そのうえで、「意外と熱海」というメインターゲットをF1層にしたプロモーションを仕掛け、結果に繋げました。駅を降りると若い男女の多さに圧倒されます。
■ハード整備の陰に熱海愛
熱海梅園、糸川遊歩道、ジャカランタ遊歩道等の整備を地元の篤志家の寄付により実施したそうです。特に熱海梅園は年間3700万円という貴重な入園料収入を上げています。こういった熱烈な熱海ファンがいたことも、熱海復活の重要な要素でありました。
■情報バラエティ特化
メディアプロモーションを手間のかかる映画・ドラマをやらず、コスパの良い情報バラエティに特化しているとのこと。それを職員1名でまわしているそうです。
やはり戦いに勝つためには武器が必要です。正確な情報、適切な政策展開、町に対する郷土愛は強力な武器になります。足利市でもその武器の重要性を多くの方に理解していただき、もう一段上の観光都市を目指したいと思いを強くしました。