さて札幌視察の続きです。
今回は札幌市民交流プラザについてご報告します。

市内一等地に建つ札幌創生スクエア

②札幌市民交流プラザ
■経緯/1990年 札幌国際ゾーン研究会を組織
2007年 市民交流複合施設検討委員会設置
2015年 都市計画決定
2015年 着工
2018年 供用開始(3年半で完成)
■延床面積/37,332 ㎡
■施設内容・特徴/
「札幌文化芸術劇場 hitaru」
国内外の優れた舞台芸術や様々な公演を鑑賞できる。劇場(2302人)、楽屋×12、クリエイティブスタジオ(175人)、練習室×9、練習室×5、反射板、オーケストラピット完備、芸術アドバイザー:尾高忠明。
「札幌文化芸術交流センター SCARTS」
市民の文化芸術活動をサポートし、札幌の文化芸術を支え育てていくオープンスペース。可動式展示パネル、自由に区切れる展示スペース、照明のアドバイスをする専門スタッフ配置、アートディレクター:市川草介氏。
「札幌市図書・情報館」
都心に集う人々に仕事やくらしに役立つ情報を提供する課題解決型図書館。
小説などは置いていない、生活芸術等にジャンルを絞る、蔵書4万冊、平日9時~21時、席の事前予約可能 80分一コマ、飲食可、会話可。
■利用率/劇場:91.8(H30)、クリエイティブスタジオ96.2(H30)
■整備費/354億円(市所有の土地抜き)
※スクエア全体780億円
■指定管理・収入/指定管理費:8.8億円(2019年)非公募で芸術文化財団に委託、図書館は市が直営
○オフィシャルスポンサー制度
H30年 法人87社、個人71人
○テナント運営
指定管理者が公募型企画、あわせて利用者1万人/月、使用料を納める

SCARTSにはアート作品が展示されている

新しくセンスのある本が揃う図書館

3施設からなる文化芸術の複合施設。札幌市の文化芸術の中心的拠点、仕事の支援、暮らしのサポートも行い、多くの市民が交流することを目的としています。再開発ビル(地上28階、地下5階)である「札幌創生スクエア」の低層階が札幌市民交流プラザです。

先ほどの札幌市民ホールと対照的に贅を尽くした印象で、190万都市札幌の顔として恥じないデザイン、規模、設計でした。
まずは「札幌文化芸術劇場 hitaru」ですが、2302人を収容できる劇場は北海道初の多面舞台や音響反射板を備えています。こけら落としは昨年10月の「アイーダ」で、オペラやバレエ、各種コンサートや式典などにも使用できます。舞台と同じサイズのクリエイティブスタジオに多数の楽屋や練習室も備えています。
それ以外にも文化芸術交流センターでは、市民の芸術活動の発表の場や、著名芸術家の作品の展示も行われています。移動式パネルによるフレキシブルなスペース設計は、最近の流行のようです。また図書館も貸し出しをしない代わりに情報の鮮度を重視していて、魅力的な情報にいつでも出会えます。また社労士や中小企業診断士による、出張相談窓口があることも特徴の一つです。

こちらも財源確保には一定の工夫がありました。「DAFNE」という非日常感を感じられるレストランと「MORIHICO.藝術劇場」というお洒落なカフェがテナントで入っています。利用者の利便性向上、施設への集客効果を高めるだけでなく使用料も歳入として確保しています。また事業費に充当するためオフィシャルスポンサー制度をとっていて、ニトリなど有名企業が多く協賛しています。

格式の高いhitaruの劇場

雰囲気の良いテナントが施設の価値を高める

今回これらの対照的な2施設を視察し、足利市の市民会館の在り方について考える際の大事な視点を再認識させられました。

⑴子どもたちに持続不可能で過剰な施設を残さない
⑵足利のホールを使いたいと思わせるような魅力的なものにする

この相反する視点すり合わせ、市民の皆さんと一緒に誇れる市民会館を作ることが、人口減少時代になすべき大切な仕事だと思います。このような視察や研修を繰り返し、市民の皆さんや議員間で議論を深めて参りたいと思います。
ぜひ、関心のある方は「アシカガ+ミライ茶論」などでも意見交換できますので、ご参加いただければと思います。

※hitaru内部写真は公式ホームページより