会派視察2日目は、札幌市にある2つのホールを含む文化施設を見学させていただきました。前提として足利市は足利市民会館の老朽化に伴う建てかえが大きな課題となっております。整備手法や機能、複合化の意義など多角的に学ぶ必要があり、今回の視察先選定に至りました。

今回は札幌市民ホールについて報告いたします。

①札幌市民ホール(カナモトホール )
■経緯
2007年 稼働率が高いが耐震化が必要 → 閉館
2009年 開館
■建物構造/鉄骨造(ホールでは稀有) 4階建
■延床面積/5947㎡
■施設内容/大ホール(1500人)、会議室×6
■利用率/大ホール:61.2(H30)、会議室:79.0(H30)
■整備費/総額約20億円(リース年額3億2795千万)
■指定管理・収入/ダイワリースが3期連続施設管理を受託
収益施設収入:約1500万(コンビニ700万)/年
指定管理費:H27年4623万→H31年2777万
ネーミングライツ(1期:わくわくホリデー1000万/年 2期:カナモト2000万/年)

こちらは老朽化した「札幌市民会館」の代替施設として、短期間かつ低廉に整備する必要があり、リース方式(賃貸借期間6年3ヵ月、満了後市へ無償譲渡)での整備を決定しました。総額約20億円という破格の整備費(※一般的に1500名規模のホールは整備費100億円程度)ですので、天井を張らなかったり、外壁と内壁を同素材にしたり、様々な材料のコストダウンを図ったりしております。仮設の予定でしたが、さらに別のホールが廃止になったため現在でも継続して使われています。

企業名が入ったホール名表記

コストダウンのため天井は張っていない

ここで目を引くのは様々な財源です。コンビニや飲食店のテナント収入約1500万/年、ネーミングライツ料2000万/年、そして通常の利用料金収入です。指定管理料も年間2777万(H31)でコスト削減に努めており、これと歳入を相殺しているので市の持ち出しはありません。建設設計と運営をセットで民間に委託しているため、このような収益性の高い運営につながっています。
箱だけ行政が作って、「年間これくらい売り上げを上げてくれ」と言われても、条件に合わない施設(センスがない、ニーズに合ってない、過剰な経費が掛かる等)では売り上げが出ないのは当然です。

テナントに場所を貸すことで利用料収入を得る

シンプルなホール客席

民間企業は収益に合わない過剰な投資はしません。コスト削減の知恵があります。売上を上げるために様々な努力をします。こういったエッセンスを取り入れること、あるいは最低限の方針や仕様を示し、民間と密な連携のもと企画、設計、運営をすることは大変重要なことだと再確認いたしました。

足利市の新市民会館についての議論は始まったばかりです。
様々なタイプのホールを見て、学んで、提言していきたいと思います。

札幌市民交流プラザにつづく...。