以前より、公共施設の老朽化と今後の改修や維持が大きな問題となっていることは議会でも議論し、サイト等でもお伝えして参りました。今回はその中でも喫緊の課題となっている「4大公共施設(※1)」について、その現状と今後について簡単にお示しいたします。
市民会館以外はすべて【ないと市民生活の根幹を揺るがす施設】ですので、施設建替えの方向で議論が進んでいます。
□過去の議事録(H29.6)→http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1233
□過去の議事録(H28.6)→http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=779

 

老朽化が進んでいる4大公共施設

 

[1]消防本部
■概要/昭和44年運用開始/敷地面積4553㎡/延床面積2212㎡
■建替え事業費/15~20億円(他市の事例を参考に)
■基本構想・基本計画/http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/45286.pdf
■備考/老朽化と狭隘化(敷地や建物面積が狭い)が深刻な施設です。昭和40年代に比べ職員も増加、車両も大型化したにも関わらず同じ建物ですので物理的に狭くなっています。また、いたるところに老朽化の弊害も見られます。また、県内では唯一耐震化がされていない消防本部です。大規模な地震が起きた際には、その機能を十分に果たせなくなる可能性があります。現在のところ現地立替えは決定し、基本構想・基本計画が策定されました。国の有利な事業債の適用期限もあり、進捗は順調です。大規模災害に備え敷地面積も広くなる計画です。2020年度内には運用が開始される予定です。

 

[2]斎場
■概要/昭和51年運用開始/敷地面積9780㎡/延床面積1647㎡
■建替え事業費/30億円(基本構想より)
■備考/火葬炉の老朽化により度々内部の改修がなされている状況です。利用者数が増加傾向にあり、現在の火葬炉5基では間に合っていない状況です。基本構想は策定され、2030年に年間死亡者数2249人をピークと推定して6基の火葬炉を計画しています。


[3]南部クリーンセンター
■概要/昭和58年運用開始/敷地面積14537㎡/延床面積10032㎡
■建替え事業費/98~122億円 + 14.1億円(リサイクル推進施設) +α(土地取得費用等)
■備考/大変老朽化が進んでおり、3炉ある焼却炉のうち現在は2炉が稼働し1炉はメンテナンス等のため休ませています。継続使用のため毎年数億円単位で改修が行われていることからも、大規模改修よりも建替えの方が、費用対効果が高いため建替えの判断となりました。地元久野地区環境保全協議会の賛同も得られ協定書が結ばれました。今年度は基本計画を策定し、実際の運用開始は2025年頃が想定されます。


[4]市民会館
■概要/昭和41年運用開始/敷地面積15071㎡/延床面積10991㎡
■建替え事業費/100億円(一般的な数字)
■施設カルテ/http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/46439.pdf
■備考/かつて「北関東文化の殿堂」と言われた市民会館も、今では「栃木県内最古のホール」となり、耐震化もされず、エレベーターもなく、トイレ等の老朽化が目立つ施設となってしまいました。多くの方からの要望もあり、また何より利用者の安全を確保するためにも建替えが必用との判断となりました。これと同時に議論しなくてはいけないのが昭和56年運用開始の「足利市民プラザ」です。一般的にホール建設には100億円規模の事業費が必要とされています。このまちに見合った、将来世代が無理なく維持できる文化施設のあり方について本格的な議論が必要です。こちらは基本構想もまだできておらず、8年~10年のスパンで運用開始となると思われます。(※2) 

以上、すべての公共施設を建替えるために必要な事業費総額の概算は「257~286億円(※3)となります。足利市の一般会計予算が約520億円ですので、その大きさが分かるはずです。これまでこうした問題を直視せず(できなかった?)、先送りにしてきた面もあり、いよいよ待ったなしの状況となっています。「炉が壊れてゴミが燃やせない」「消防本部が倒壊して災害救助ができない」となっては市民生活に大変な影響が出てしまい、場合によっては生命・財産の損失に繋がりかねません。
しかしながら、財源は限られているわけですので、最小限の投資で最大限の効果を生み出せるような設計や運営を目指す視点も忘れてはいけません。簡単ではありませんが、慎重かつスピーディに今後の検討を進めていきたいと思います。
4大公共施設の詳細については今後、私の意見も織り交ぜてアップして参ります。

 

※1…議会や役所内で呼ばれる通称の様なものです。
※2…あくまで個人的な見解で、市は時期について明言していません。
※3…土地取得費用等が含まれていなかったり、他市の事例を参考にしていたりと正確な数字ではありません。あくまでオープンになっている額の加算で算出したものです。