「関東若手市議会議員の会栃木ブロック研修会」で宇都宮市役所にうかがいました。テーマは「宇都宮の都市魅力創造」と「LRTを含めた宇都宮市全体の公共交通」についてです。今回はLRTについて報告いたします。

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佐藤市長を囲んで

研修では佐藤市長自らご説明いただき、質疑などはLRT整備室の方にご対応いただきました。

まずLRTですがLight Rail Transitの略で次世代型路面電車システムのことです。特徴は騒音や振動が少ない、床が低くバリアフリー、環境にやさしいなどがあげられます。国内では富山市のみが導入しています。

宇都宮市は現在人口52万人をほこる北関東随一の都市です。しかし、今後の人口減少、高齢化を視野に入れる必要に迫られ、「ネットワーク型コンパクトシティ」へとまちづくりをシフトしています。その重要政策のひとつが「LRT事業」です。
事業概要については以下の通りです。

【LRT事業概要】
営業km/約15km(複線)
営業主体/宇都宮ライトレール株式会社
停留所数/19ヶ所
車両定員/155人(最大輸送力232人)
概算事業費/458億円(宇都宮市412億円、芳賀町46億円)
概算事業費内訳(宇都宮市分)/国負担206億円、地方負担206億円

■積極的な広報
今回の研修で私が特に注目していたのは、LRT整備室および共同広報室の広報戦略です。
感想は「徹底している」の一言に尽きます。
平成28年11月の宇都宮市長選挙ではこのLRT事業が大きな争点になりました。この一点突破で現職の佐藤市長が共産系対立候補に追い上げられ、ギリギリまで勝負がわからない大接戦となりました。勝利はしたものの、結果を重く受けとめLRT事業の徹底した広報に大きく舵を切りました。
それを指し示すデータとしてLRT関連広報費があげられます。
H28年度 約200万円
H29年度 約8000万円

質疑の中でお答えいただいたので正確ではありませんが、激増していることは言うまでもありません。

実際に市のホームページを見るとLRT専用ページには、非常に多くのコンテンツが揃っています。啓発動画は数十種類、ポスターや啓発パンフレットも何種類もダウンロードできます。出前講座の紹介はもちろん申請書までダウンロードできます。オープンハウスという気軽に行ける説明会兼プレゼンイベントのような仕掛けも、数十カ所で実施しているようです。
市役所内や市内各所に啓発ポスターが掲示され、新聞にも広告が掲載されています。先日目にしたのはJリーガーと連携したインタビュー形式の広告でした。

東西基幹公共交通LRT専用ページ → http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/kotsu/lrt/

 

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啓発用パンフレット

 

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数十種類の啓発動画

 

■足利が学べるところ
研修を踏まえて本市を振り返ってみます。事業規模や事業主体が全く違うので単純比較はできませんが、「JR両毛線新駅事業」は宇都宮から学べる点が多くあるように感じます。

【宇都宮LRTと足利新駅の共通点】
1.公共交通への投資
2.未来への投資
3.事業費が大きい(足利15億円/宇都宮458億円)
4.市民の理解度が低い

特に現段階の足利は4が重要だと考えています。
「何のための事業なのか」
「私たちの生活にどう影響するのか」
「どんな将来ビジョンを描いているのか」

それをわかりやすく、積極的に伝える努力をすべきだと考えます。宇都宮ほど予算をかけて行う必要はありませんが、姿勢は見習うべきだと思います。
将来の足利にとって必要不可欠で、経済も活性化し、雇用も生まれ、市税も増える事業だと考えているのであれば、そのビジョンを市民に示すべきです。動画、パンフレット、ポスター、オープンハウス、様々な手法を駆使して広報に努める必要があります。

JR東日本や栃木県とも連携をし、地元住民の皆様へのご理解もいただかなくてはいけない相手方のいる事業です。慎重にならざるを得ない部分もあるかもしれませんが、出せる情報、ビジョン、理念などはしっかりと出すべきです。
今のところ市民への情報は新聞などのメディアを通したものがほとんどです。情報が少ないと様々な憶測が飛びます。

新駅事業に関しては継続して、広報と情報公開をしっかりと行うよう提言を続けてまいります。