第4回は消防組織体制についてです。こちらも行政内部の話が中心ですが、重要なセクションですのでしっかりと提言をさせていただきました。

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台風第19号による被害が市内各所で発生する中、本市消防隊員ならびに消防団員は危険を顧みず、救助や応急処置、広報活動等の重要な職務を遂行していただきました。出動してから十数時間、トイレに行くこともできずに現場を転戦されていた方、糞尿が浮かぶ濁流の中で数時間にわたり救助活動をされていた方、500件を超える通報に休みなく対応し続けた方。市民を守るために全身全霊で任務に取り組まれた、多くの消防職員並びに団員の方々に対しては感謝の気持ちしかありません。
さて、そうした活動のさなか、東分署の水没や計9台に及ぶ消防車両の水没・故障など消防力が大きく低下する、本市消防組織にとって前代未聞の被害を受けることとなりました。そこでまず今回の課題を整理したいと思います。

情報収集と伝達については、その1(情報編)でもお伝えした通り、119は2日で500件を超え、直接消防署の電話に問合せや要請が殺到し、情報を適切に処理できない状況でした。水没や故障をした車両の状況も把握ができず、適切な指示を出すことが難しい状況に陥りました。そして9台の車両が水没し、各道路の冠水により消防車両が通行できなくなった時点(12日24:00頃)で、本市消防による水難救助は事実上不可能になりました。自衛隊派遣要請を判断する、重要なターニングポイントであったと考えます。また、災害対策本部のメンバーには消防長が入っています。緊急の決断を立て続けに迫られる消防本部に、そのトップである消防長が不在であったことによる仕組み上の不具合も考えられます。今回を期に多くの課題が露呈したからこそ、責任追及に終始するのではなく、それをチャンスと捉え大胆に改善を進めるべく、4つの提言をさせていただきました。


■末吉の考え
1.通報の集中が予想される際の情報収集・処理・伝達体制の整備
500件もの通報に対し、それを休みなく受け続けていくと通常配置の職員だけでは対応しきれません。通信指令課OB職員を臨時配置したり、2班交代体制にしたりすることによる人員の確保が有効と考えます。また、災害対策本部および危機管理課と消防本部が常に情報をやりとりできるホットラインを形成することも重要です。
市は「本部職員の増員で対応し、ホットラインの必要性を検討する」との答弁でした。

河南署内にある通信指令課

2.車両・部隊の状況を俯瞰し総合的に指示ができる体制の整備
緊急状態で場当たり的な指示にならないように、車両・部隊の総合的指示を出す専門の職員を配置することにより、冷静に判断ができる環境を整えることができます。その3で提言した退職自衛官の配置も有効な手段です。
これに対し指令課課長を補佐できる職員を配置し対応する旨の答弁がありました。

3.即応性のある決断をするための災害対策本部へ出向する役職の見直し
災害対策本部(市役所)との物理的距離、判断のスピードの遅れが人の命を左右することもあります。災害対策本部には消防長ではなく消防次長などを置くことにより、消防本部の即応性が向上します。
今後は柔軟に対応するとの答弁がありました。

4.水難救助能力の強化
市が準備をしている水難救助隊は市民にとって大変心強いものとなります。今回を期に装備も旧式ではなく、大規模災害に耐えうるものを整備すべきと考えます。ボートがあっても、動力がなければ迅速な救助はできませんので、船外機の整備も必要です。(本市消防は2台所持)
また、消防団にも最低限の装備として、船外機の付いたものではなく、現実的に大規模な訓練や船検などの維持管理が不要なゴムボーだけでも整備できないかと考えます。
これに対し、「水難救助隊は来年度の運用開始予定。船外機の追加は考えていないが、消防団へのゴムボート配備は検証した中で検討する」との答弁がありました。

本市消防に配備されているゴムボード

その3(危機管理体制編)同様、かなり組織に踏み込んだ質問となりましたが、前向きな答弁も多くいただきました。何度も言いますが、責任追及ではなく、改善のチャンスとして提言をさせていただいております。
消防という組織の特性上、新しいことを取り入れたり、改革したりすることは難しい部分があります。しかし、今回の様な大規模な災害をきっかけに、その課題を乗り越えることこそが、市民の命と財産を守る新たな盾となることを信じ、勇気ある改善をお願いしたいと思います。


つづく...