さて、長くなりましたが私の賛成理由は以下です。
 
1.東部開発により税収増・雇用拡大を狙える
2.渋滞解消の一助になる
3.将来世代へ公共交通を残す一助になる
4.観光客増加による経済活性化を狙える
5.地元の賛同がある
 
以下で詳しく説明していきます。


1.東部開発により税収増・雇用拡大を狙える
ほとんどのメディアでは取り上げられませんが、ここが最も重要だと考えます。『都市計画法』に基づき足利にも市街化区域、市街化調整区域といったエリア分けがなされ、家を建てても良いところと、建てられないところがあります。また『農業振興地域の整備に関する法律』に基づき農用地区域に定められたところは原則、農業以外はできないルールがあります。工場やホテルを建てたくても好きなところに建てられるわけではありません。その規制を解除(除外)したり、変更したりするためには、特別な事情が必要です。
その事情になりうるのが、鉄道の駅や高速道路のICといった公共交通の設置です。
例えば北関東自動車道が開通し、ICから都市計画道路を開通させ、農用地区域から除外されたところにインタービジネスパークができた名草地区があります。
また、こちらも農用地区域から除外された、あがた駅南新産業団地は東武伊勢崎線あがた駅という公共交通があったことも理由のひとつです。
この事業は道路の開通、都市計画の変更、農用地区域の除外、産業団地造成、企業誘致(観光系や商業系も含む)などによる税収増、雇用拡大、経済活性化の可能性を秘めていると考えます。
駅もICもないところの都市計画を変更し開発をするのは至難の業です。

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新駅の完成イメージ



2.渋滞解消の一助になる
「一助」というのがポイントです。駅だけではすべての渋滞は解消しません。しかし、フラワーパークに来場するマイカー利用者の約3割が、新駅ができた場合「車から電車に変更する」と回答しています(足銀総研調査)。単純計算で現在5kmと言われる渋滞が、3割減で3.5kmになるわけです。
渋滞は観光地に対する顧客満足度を大きく下げます。前回の議会でも指摘をしましたが、多様な交通手段を準備して、それを観光客に対して効果的に提案することも重要です。これはこの後の「条件」で詳しくお話しします。

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新駅設置予定場所周辺



3.将来世代へ公共交通を残す一助になる
「自動車の自動運転技術の一般化」がどこまで現実的なものか、各自治体が掴み切れていない現状では、公共交通の維持は当面の重要な課題です。バスや鉄道の利便性を確保しつつ未来にどう残していくのか。
JR両毛線利用者の6割を占める学生が少子化で減少する中、鉄道会社はもちろん、各沿線自治体が知恵を出し合って地域の足を守る検討をすべきだと考えます。
「○○鉄道をみんなで使おう!」「守ろう○○鉄道!」といった看板が見られる地域も沢山あります。そんななかで両毛線のほぼ中間地点に住む足利市民が、この問題にしっかりと目を向けることは決して無駄だとは思えません。
すぐにどうこうというわけではありませんが、「両毛線は未来永劫なくならないだろう」と胡坐をかくことは、未来を託された市議会議員としてできないと考えました。いざその時が来て、「維持を希望するなら応分の負担を自治体に求める」と鉄道会社から言われたり、「維持のために国に支援を要請する」と各自治体が声を上げたりしても、その頃には今以上に人口と税収が減少しているでしょうから、国も自治体も予算を割くことができないはずです。


4.観光客増加による経済活性化を狙える
フラワーパークは現在、日光東照宮に次ぐ県内の人気観光スポットです。年間150万人の来場者を引き込んでくれる大きな磁石であることは間違いのない事実です。各調査で出ている本市の日帰り観光客の消費額約10,000円(1人当たり)で計算すると、単純計算で150億円という経済効果があることになります。
その功績と可能性があったからこそ、JRとの今事業に繋がっています。そこで足利市として市民として、その果実をどう得ることができるのか。ここが一番の課題です。
「フラワーパークのお客さんはみんな佐野に行ってしまう」
このように指摘する声をよく耳にします。
では、佐野の大型商業施設では作り出せない魅力や利便性を足利のまちなかで作る努力をどこまで本気でしてこれたのでしょうか。例えばフラワーパーク周辺に常設の観光案内所がなかったり、2次交通が整っていなかったり、鑁阿寺や足利学校の歴史を楽しむ施設がなかったり、大型ツアーに対応できる飲食店が少なかったり、まちなかの景観整備も途上であったり、観光サインが分かりにくかったり、駐車場の位置が分かりにくかったりなどなど。
(※この指摘はあくまで、これまでの多くの皆さんの努力を否定するものではなく、今後より一層の努力をしなければ、結果に繋がらないという趣旨です。)
これには行政だけではなく、個店の努力も必要です。
新駅で更に増加するであろう年間150万人の経済効果を、足利市と市民が本気になって獲得しに行く時期に突入していますし、新駅事業はその分母を大きくするものだと考えます。
 
5.地元の賛同
3月議会において、富田地区自治会連合会から新駅事業に関する陳情が出ています。この陳情は新駅事業を歓迎し、地域振興を進めてほしい旨となっている以上、議会としても軽視するわけにはいかないという事情もあります。


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【陳情要旨】
両毛線富田・足利駅間の新駅整備事業は地域の発展や地域住民の利便性に寄与するものであり、早期実現に期待する。加えて、事業目的達成のため東部地区(富田地区)の土地利用政策等の積極的な推進を図られるよう、次の項目について施策を講じていただきたい。

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陳情詳細(平成29年3月定例会一般質問3日目議長発言の最後)→
 
つづく・・・