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平成29年第4回定例会(12月)

1.子育て環境の改善について(こども医療費助成/親との近居・同居の推奨)
2.渡良瀬川の活用について(水辺ににぎわいと新たな価値を生み出す事業)
3.文化行政について(田﨑草雲)
4.選挙啓発について(投票率の改善対策)

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◆3番議員(末吉利啓) 発言の機会をいただきましたので、順次質問をしてまいります。
子育て環境の改善のうち、こども医療費について質問いたします。これまで多くの議員が、会派に関係なく、こども医療費の問題を取り上げてきました。そのほとんどの主張が、現物給付の範囲を中学3年生まで広げるべきといった市民、とりわけ子育て世代の切実な願いを訴える内容でした。市民の声を反映している議会が会派を超えて主張しているという意味で、大変重要な案件と言えます。私も平成27年9月市議会定例会で一般質問をいたしました。それから今に至る約2年間で、国の医療費助成のペナルティーの一部廃止決定や県内各自治体の助成拡大などの動きが見られました。改めて本市における2年間の調査研究の進捗状況をお聞きいたします。

P.86
◎市長(和泉聡) 3番、末吉利啓議員の御質問にお答えします。
現物給付の問題についてですが、まず国が各自治体の少子化対策の取り組みを支援する観点から、平成30年度からこども医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置を廃止したことは一歩前進したものであり、本市はこの財源を活用した新たな子育て施策を検討しているところです。
私は、こども医療費の現物給付の問題については、これまでさまざまな場所で何度となく御要望いただく中で、子育て施策と財源の問題で悩んできました。償還払いをお願いしていることで、子育て世代の皆様にはお手数をおかけしております。仕事の合間を縫って、領収書を医療機関ごとにまとめて申請書を何枚も記入したり、子供を連れて市役所に申請に来るなど、大変な思いをされていることは私も承知をしております。また、この問題については、子育て世代のお母さん方や地域でのフォーラム、さらには関係機関の皆様との懇談会などにおいて御意見をいただいているところです。さまざまな意見がある中で、現物給付の問題については、子育て世代のために何をすべきか、さらに視点を広げて、子育て世代以外の全ての市民を含めて、このまちをいいまちにしていくにはどうすることが一番の選択なのか、日々自問自答しているところであります。
今後大幅な税収の増加が期待できない中で、子育て世代のニーズに合った施策を実施していくには、将来にわたり持続可能な安定した財源の確保が必要不可欠であり、また将来の子供たちに現世代のツケを残すことなく、明るい未来を築いていくかけ橋となり、その実現に向け責任を果たしていくことが、私たちの使命であると強く認識をしております。したがいまして、こども医療費の現物給付の問題については、引き続き市長会を通して、国などの関係機関に拡大実施を要望する一方で、さまざまな角度から十分な議論を積み重ね、総合的に判断してまいります。これからの子育て施策は、長期的な視野を持って進めていくことが大切であり、その中で限られた財源を有効に活用し、子育て世代に寄り添った温かい子育て支援に全力で取り組んでまいります。

P.86
◆3番議員(末吉利啓) ただいま市長のほうから御答弁がありました。長期的な視野を持ち、さらには持続可能で将来にツケを回さないというのは、この案件以外にも共通して言える大切な観点かと思います。
再質問いたします。子育てしにくいまち、市内の若い世代が足利市を評価するときによく用いる言葉です。私は、そういったことをおっしゃる方には、必ず具体的には何がですかとお聞きするようにしています。私の聞いた限り、ほぼ全ての方がこども医療費が現物給付化されていない点を指摘します。そして、それ以外は何かありますかと聞くと、答えはほとんど出てきません。つまりこども医療費の問題が子育てしにくいまち足利のマイナスイメージの主な原因であることが推測されるわけであります。
市民アンケートでも、子供を産み育てる取り組みについての満足度加重平均値が、平成27年、3.3から、平成29年、3.12に低下をしています。総合計画では、平成30年、3.50を目標としていますが、市民の評価は残念ながら逆行し、低い評価を下しています。本市は、キッズピアのような屋内子ども遊び場を整備したり、子育て世代包括支援センターを整備したりして、子育て世代から高い評価を得ています。しかしながら、それがいまだに市民アンケートに反映されないのは、ボトルネックにこども医療費の問題があり、その負のイメージが余りにも根深いからではないでしょうか。財源等多くの課題がありますが、この問題を先送りにすることによる本市の子育て環境に関するブランドイメージへの影響についてどのように考えているのでしょうか、お答えください。

P.87
◎市長(和泉聡) もっともな御指摘かと思います。特に子育てしにくいまちというようなフレーズを聞くと、私も市長として大変心が痛みますし、非常に悩ましいと思います。
そこで、いい機会ですので、ぜひ少し議論させていただければと思っています。実は、この問題、普通議員の皆さんの質問は、大体お一人、事前の答弁検討会でも平均すると四、五十分で終わるのです。この1問だけに1時間半の時間を使いました。居合わせた庁議メンバー全員と居合わせた職員全員に僕は意見を求めました。その前に、3カ月前には子育て中の職員、お父さん、お母さん職員に集まってもらって、あるいは子育てを終えた職員にも十数人集まってもらって、2時間近く議論させてもらいました。その後、食事を挟んでやっぱり2時間近く、1日で四、五時間の議論もさせてもらいました。それだけ悩ましい問題だということをまずわかっていただきたい。我々もいろいろな角度から検討しているということをまずわかっていただきたい。
その上で、私は大変職員と意見交換する中で印象的だったのは、ある職員が、このこども医療費がいつ始まったか、皆さん御存じでしょうか。我々、歴史に学ばなければいけないと思っていて、昭和47年です。ゼロ歳児だけで始めました。ちなみに当時の始まったときが、1年間で4,400件、今ちなみに22万件、50倍です。それよりも何が言いたいかというと、当時は皆さんに来てもらって、領収書を添付して、申請書をその場で書いてもらって、現金を渡していたのです。その場で現金を。これが26年間続きました。職員の給与も振り込みではない時代でしたから、全部現金だったのです。並んでもらって、現金でお返ししていた。そのときに、職員によると時々申請書を書くの面倒くさいわねという方がいるので、そうすると職員は、いや、税金からいただくのですから、申請書を書いてくださいよ、領収書をつけてくださいよと言うと、みんなでそれはそうだよね、今までもらえなかったのが、こうして返してもらえるだけでもありがたいと言っていたそうです、当時は。当時、恐らく日本の全国を見ても、窓口で無料というのは一回もなかったのだと思います。ところが、どうでしょう。今は、窓口無料が一般的になっている。もっと言うと、隣の周りのまちがやっているから、なぜうちができないのだ。こういうこと。ただし、繰り返しますけれども、26年間現金で返していた。そのときに不平を言う方、あるいはその当時、足利市は何で窓口が無料ではないのだと不平に思う方は僕は一人もいなかったと思います。こういう歴史があるということをまず一つ、押さえなければならない。これがまず1点です。
2点目は、僕は税金からいただくのだから、領収書をちゃんとつけて申請書を書かなければいけない、ありがたく、ありがたくもらう。ここが大事だと思っていて、そこで僕が思いついたのは、市議会議員の先生方の政務活動費、これは今領収書をつけて皆さん出していますね。なぜですか。大事に使わなければいけないから、ありがたいからです。ところが、歴史を振り返ってみると、古い先生は御記憶かと思いますが、平成9年から始まりましたけれども、平成17年まで領収書をつけなくてよかったのです。つけなくてよかった。だけれども、つけなければおかしいではないかということになったわけです。だから、皆さん今つけている。これをこども医療費に僕はすごくオーバーラップすると思っていて、いや、議員は選挙で選ばれるのだから、市民はそうではないから。僕はこれはちょっと理屈が違うと思います。そういうふうに思うのだったら、議員は選ばれるから意識が高いから。市民は、普通の人だから意識が低いからと言うのだったら、これは僕は上から目線だと思います。市民だって意識は高い、議員だって意識は高いのだとすれば、きちんと使わなければという意味で、きちんと領収書を提出するというのは、僕は同じではないかとも思えてくる。これが2点目です。
3点目は、歴史に学ばなければいけないということで言うと、皆さん、福祉元年と言われた、これは昭和48年です。そこから10年間、老人医療費が無料だったのです。覚えていますか。何が起きたかというと、病院がサロンと化して、病気でもないのにおじいちゃん、おばあちゃん、みんな行って、抱えきれないぐらい湿布とかもらってきて、これは大変なことになるということで修正してきたわけです。修正するのに2008年までかかった。36年間かかりました。今1割負担をお願いしているわけですけれども、本当は2008年小泉内閣のときに2割負担にするはずが、今ペンディングで1割負担のままになっています。2割負担が本当は約束です。だけれども、こども医療費現物支給無料にせよと言っているけれども、老人医療費無料にせよという議論、戻せという議論を聞いたことがありますか。ありません。なぜだ。それはやっぱり負担してもらうのが正しいからです。一部でも。そうではないともたないからだと思うのです。逆に言うと、一旦無料にすると、36年間の時間と政治的エネルギーがかかる。ということは、よくよくみんなで議論して始めるにも始めないといけない。私は、これ歴史に学ぶという意味では、これが一つ皆さんに申し上げたいことの3番目であります。
4番目は、我々は今そのまさにブランドイメージのことを言うと、本当に僕は耳も痛いし、胸も痛いのだけれども、そのとおりなのだ。ただ、我々の使命がもし要求をしてくる市民も大切、その要求も。でも、一方で声なき声にいかに耳を傾けるか。これも我々のやっぱり仕事ではないかと思っています。ということを考えたときに、確かにコップのこっち側から見るとブランドイメージ悪くなる。やっぱり何で足利市だけできないのだ。これはそのとおりだと思います。これは、子育て世代に聞けばそうなのだと思います。だけれども、足利市民には子供のいない方もいるし、結婚していない方もいるし、独身で一生懸命汗をかいて、毎日働いている方もいるわけです。そういう方たちの声なき声を我々どういうふうに拾い上げるのか。そういう方に聞いたら、聞く努力を我々してこないから、していないからなかなか聞こえてこないけれども、そういう努力をしたら、もしかしたら中にはお母さん方、大変かもしれないけれども、それでどうもわからないけれども、2億円ぐらい費用が浮くのだったら、何とか頑張って領収書をつけてよと言う市民もいるかもしれない。いろいろな声がやっぱりあるのだと思います。コップのこっち側から見るとそうなのだけれども、もっと言うと、ブランドイメージということで言うと、きょうこういうふうに末吉議員が提起してくれて、これだけ一生懸命考えているまちはないと思います。しばらく置くにしても、やるにしても。そういうことを市民が知ったら、ただ、ただ何も知らないで、ある日行ったら窓口が無料になっていましたというまちよりは、そんなに一生懸命議員も市長も役所もみんなで一生懸命考えて、何がいいか考えている、こんないいまちはないと。むしろブランドイメージが上がるかもしれない。それがいろいろな角度から見るということではないかな。声なき声にも耳を傾けるということが我々の仕事であるとすれば、そういうブランドイメージ、確かにそのとおりだと思います。だけれども、その反対側からやっぱり考えてみるということもやっぱり必要なのではないかというふうに思っています。
いろいろ言いましたけれども、そういうわけでもしそういうふうに歴史を考えると、何回も言います。昭和47年に始まったとき、誰も窓口で無料ではないからと不満を言う人はいませんでした。むしろ役所に来て、領収書をつけて、申請書を出したらお金が返ってくるので、こんなありがたい話はないとみんな思ったわけです。当時足利市だけ窓口で無料ではないからけしからぬという市民は誰もいなかったと思います。でも、今多くの人が思う。なぜですか。周りがやっているから。理由は僕はこれだけなのだと思います。ということを考えると、そういうことではないかと思う。一方で周りがやっているからやっていないということが逆に重い。非常に重い。末吉議員おっしゃるとおり。ということでもある。その両方が言えるのだと思っていまして、私はそういうことを全部考えた上で、これは議論をしていく。その議論をしている姿を市民が知ったら、そのこども医療費のところだけ見るとブランドイメージ傷ついているけれども、そんなに一生懸命議会で議論しているまちはほかにはないよ、全国どこにもと知ったら、そんなにいいまちはないと思ってくれるのだと思います。ということを申し上げて、とりあえず今ブランドイメージのことに関しての私の考えを申し上げたいと思います。

P.89
◆3番議員(末吉利啓) 非常に熱のこもった答弁、ありがとうございます。
先ほどお話にありましたとおり、庁内でこの質問に対して長時間さまざまな議論をしていただいたこと、大変ありがたく思っておりますし、それだけ重要な案件だとも思っております。先ほど市長が御指摘いただいたとおり、この議論を多くの市民の方々が見ていただいて、理解していただければ、確かにこの案件、領収書を持っていくぐらいだったら仕方ないかなと思っていただける方も出てくるかもしれませんが、残念ながら現実はそうはいきません。そういった意味で、非常に若い世代、政治にも選挙にも興味がない。そういった中で、議会を傍聴することもなければ、わたらせテレビで議会の中継を見ることも少ないと思われます。そういった方々にはなかなか伝わらない。非常にシンプルな話だけがそのまま通ってしまう。そういった現状も片やしっかりと直視していただきたいと思います。
再質問いたします。少し話はずれますが、こういったこども医療費の問題に関しましては、こども医療費を拡大するそれだけではなく、それと同時に医療費を削減するという点も非常に重要なポイントだと思っております。小学校1年生から中学校3年生まで現物給付による、いわゆるコンビニ受診の増加に関しましては、前回の一般質問で議論をしたとおり、その可能性はまだまだ実証されたわけではございません。家庭医療を勉強する機会をふやすなど、医療費削減のための施策と現物給付の検討を、持続可能な制度とするためにセットで考えるべきとも考えております。勉強会や講座のイメージとして、例えば外科的なことであれば簡単な止血やアイシング、内科的なことであれば病院に連れていくべきか否かを判断できる知識をつけてもらうといった啓発活動が考えられます。これにより、コンビニ受診増加の抑制や症状の不正確な認識による受診おくれからの重症化を防ぎ、結果的に医療費増加を防ぐことにもつながります。これは、児童家庭課だけではなく、健康増進課との連携を必要とするところではありますが、こども医療費の拡大の検討と同時に勉強会や講座等による医療費削減施策についての御所見もお伺いいたしたいと思います。

P.89
◎市長(和泉聡) 家庭医療の教育とセットでやるということは大変いい御提案だと思います。
先ほど私がるる申し上げたように、もし我々の懸念が、一つは現物給付にすると感謝の気持ち、税金からいただいているのだ、あるいはどこかにしわ寄せがいって、その分の負担が発生しているのだという、想像力をなくすことへの懸念だとすれば、あともう一つはコンビニ受診の懸念だとすれば、家庭医療の教育とセットでこの制度を考えていくというのは僕は大変一つの考え方としてはすごく有効だと思っていまして、これからの議論の中で検討していきたいというふうに思います。

P.89
◆3番議員(末吉利啓) ぜひ有効な施策だと思っておりますので、検討いただきたいと思います。
再質問いたします。全国的に言えることですが、本市も高齢者中心の財源投資が行われ、いわゆるシルバー民主主義が主流となり、さまざまな補助金の制度化、サービスの無償化、箱物行政が推進されてきました。その反面、未来を担う子育て世代への投資は、こども医療費を初め総体的に進んでおりません。20年前に比べ、世帯ごとの年間平均所得は約100万円減少したと言われています。共働き世帯も増加の一途をたどり、子供の相対的貧困率も増加傾向にあります。そのような状況で、2人目、3人目と子供を産み、出生率を上げることができないのは、火を見るよりも明らかです。
高齢者への福祉サービスが悪いと言っているわけではありませんが、限られた財源の配分をタブーを超え、本格的に議論をする時期に入っていると考えます。高齢者サービスの中で本当に必要な事業を取捨選択し、そこで生み出された財源をせっぱ詰まった子育て世代へシフトしていく。こういった大きな流れや機運を醸成していかなくては、衰退するまちに起死回生の一手は打てません。高齢者も自分たちの孫やひ孫世帯が喜んでくれるなら理解していただけるのではないでしょうか。世代間の適正な予算配分に関する議論の必要性について、市長にお考えをお伺いいたします。

P.90
◎市長(和泉聡) いろいろなこの施策に限らず、我々はやっぱり何か新しいサービスをやるときに負担とセットで提示しないと、これはやっぱりごまかしだ。サービスばかり言って、あたかも負担がないように言う。これはやっぱり誤解を生むばかりだとずっと僕は思っていますし、ここでもそうだと。
その意味で、今末吉議員が提案されたように、シルバー民主主義と言われる中で、私この議会でも言いましたけれども、社会保障がどちらかというと日本はやっぱり人生の後半に偏り過ぎているという現状を考えれば、それを人生の前半、若い世代にシフトしていくということは本当に大切だと思うし、このこども医療費を考える上でも、そういう意味で今例が出ましたけれども、お年寄りへのサービスをもしお年寄りが、いや、市長、議員、そんなに若者が大変だったら、我々が受けている、年寄りが受けているこのサービスを返上してもいいから、それを原資にして若い人間に回してくれよ。もしこういう声が足利市のあちこちで出てくるのだったら、私はすばらしいことだと思うし、それを弾みに制度のかじを切っていく。僕は十分あり得る話であると思う。でも、それにはぜひ議員の皆さんも自分の後援会に帰って、お年寄りを集めて、お年寄りにその現状を説明して理解を得る。それをしないで、そんなの嫌だよ。とにかくサービスだけふやせ。これはやっぱり無責任なのではないか。みんなで、それは私も、議員の皆さんも役所も、みんなでそれをして、そういう善意の気持ちがわき上がってくるのだったら、それをもとに制度へかじを切っていくという、僕は十分あり得る議論なのだと思っています。
もう一つは、僕は三、四日前もこの話で夜中2時ごろ目が覚めて、3時間ぐらい眠れなかったのですけれども、その中で一つ思ったのは、例えばですけれども、もしどうしても現物給付に必要だというコンセンサスがそこなのだとしたら、その分幾ら上乗せになっていくのかを見える形で残していく。それの分は子や孫にツケを残していくわけですから。この分の制度上、仕組み上できるかどうかは検討が要りますけれども、極端な話、借金を積み立ててでもこども医療費現物給付をやっていく。多分2億円近い上乗せになるのだと思う。それを見える形にしていく。お母さんたちには、現物給付にしたがゆえに、これだけ毎年子供たちにツケを回しているのだよということをお知らせする。そうすると、中には、いや、市長、そこまで、子や孫にまでツケを回すのだったら、領収書を出すぐらいやるからやめてよというお母さんも出てくるかもしれない。そこが見えないから、まるで何の負担も伴わないでごちゃまぜになってしまって、マジックみたいにサービスだけ浮上するので、そこがやっぱり非常にわなになっているところ。それを見える形にするという形で制度を始めるというのでもあるかもしれません。あるいは、さっきお話が出たように、そういう家庭医療の研修とセットで考えるというのも方法かもしれません。いずれにしても、どういう方法が一番いいのかというのは、みんなで議論して、みんなで我々も議員の皆さんもぜひそういうわけで声なき声も含めてインタビューをして、足を使って、市民の声をすくい上げて、何が一番いいのかという方法を考えていく必要がある。
それだけ、そういうふうに考えると、この問題というのは実は大変足利市というまちがどういう、質の高いまちなのかというのが僕は問われているのだと思う。思考停止して、周りがやっているからやればいいのだとやってしまえば終わりです。でも、これだけ悩んで、何がいいか、みんなで議論して、みんなで調べてやるということ。市民の意識も上がっていくということで、このまちがどれだけ質の高いまちなのかということは僕は逆に試されているのだと思います。周りがやっているからとやってしまえば簡単ですということを繰り返し申し上げて、最後の御質問のお答えにしたいと思います。

P.91
◆3番議員(末吉利啓) 今市長から御答弁がありましたとおり、プロセスが非常に重要なのかなと思っております。先ほどのただ言われたから、それをそのまま受け入れて、その制度に組み込めばいい。そういうものではもちろんないと思いますし、市民の皆様にそれ相応の負担がかかっている、費用がかかっているということをお伝えする。それと同時に医療費削減のようなことも行っていく。そういった見える化というのは非常に重要だと思いますし、私も全くもってその点については同感であります。
こども医療費の問題に限った話ではありませんが、こういった世代間の適正な予算配分については、足利市を次の世代に持続可能な形で引き継いでいくためには避けて通れない議論ですので、今後とも議会、庁内、積極的に行っていけたらと思います。
次の質問に移ります。親との近居・同居の推奨についてお伺いいたします。近年親世代との近居・同居の推奨は、子育て世代の定住や合計特殊出生率向上に有効と考えられています。ほかにもさまざまな効果が期待されていますが、今回は子育て環境の改善に絞って質問をいたします。
共働き世帯、核家族の増加とともに、子育てを担う親の負担は増大しています。それを補ってくれる頼りになる存在は、何といっても祖父母世代を初めとした家族です。その存在は、子供が急に病気になってしまったとき、急な仕事が入ってしまったときなど、いざというときに大変頼りになります。また、日ごろより保育園の送り迎えなど家族の助けがどれだけ子育て世代にとって助けになるか。子供を育てた経験があれば、容易に想像できるはずです。
国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査によれば、親世帯との同居や近居世帯の完結出生児数は、別居世帯の1.83を大きく上回る2.02、2.03であります。また、沖縄県の合計特殊出生率は32年連続全国1位です。一般的な理由に、家族による子育てに対する共助の意識や体制の強さが挙げられます。この一例を見ましても、近居・同居の推奨が子育て環境の改善につながる大きな鍵となることは明らかです。子育て世代の負担を軽減し、出生率を上げ、人口減少に歯どめをかけるためにも、本市において親との近居・同居を推奨すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

P.91
◎市長(和泉聡) ただいまの御質問にお答えします。
子育て環境の充実は、定住人口が増加し、にぎわいのあるまちづくりを進めていく上で重要な課題の一つであると考えています。本市では、第7次足利市総合計画あしかが元気輝きプラン及び足利市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、子育て支援の推進を戦略の一つとして位置づけています。具体的には、子育て世代包括支援センターの設置や放課後児童クラブの拡大など、子育て世代を応援する体制づくりに取り組んでいるところです。また、現在春日市営住宅地内の未利用地において宅地開発を進めているほか、一定の要件を満たした市街化調整区域内の小学校周辺において新たに宅地分譲等を認めるため、開発行為の許可基準の見直しを行うなど、子育て世代を意識した良質な住宅地の供給について積極的に取り組んでいるところです。
親世帯との近居や同居は、家族がお互いに助け合うことで、家族としてのきずなを深め、子育て環境の充実や高齢者の孤立防止の観点からも有意義な居住形態の一つであると認識しています。このような良好な子育て環境の形成は、合計特殊出生率の上昇につながることも期待されます。また、子育て世代が居住地を選ぶ際には、居住地と就労先との近接性や世代間のライフスタイル、価値観の相違など、さまざまな要因が関係することから、近居・同居の促進には難しい側面もあると感じています。今後国の動向や先進市の事例などを参考にしながら、近居・同居にとらわれず、広く子育て支援や新たな住宅用地の開発による定住促進など、子育て環境の充実に取り組んでまいります。

P.92
◆3番議員(末吉利啓) 再質問いたします。
以前にも質問しましたが、新築住宅取得支援並びにリフォーム支援制度を近居・同居を想定している世帯に特化した制度設計として考えてみてはいかがでしょうか。近隣市でも導入しているケースがあり、自治体によって効果に差があるようですので、先行事例の調査を実施しやすいと考えます。御所見をお伺いいたします。

P.92
◎都市建設部長(金子裕之) 議員御指摘の新築住宅取得支援、リフォーム支援制度につきましては、近居・同居も含めたさまざまな角度から検討を行ってきたというふうな経緯がございます。しかしながら、事業の選択と集中という、こういった観点から、実施は困難と判断させていただいた、こういった経緯もございます。今後とも若い世代や子育て世代の移住・定住という、こういった広い視点から、どのような手法が有効なのか、調査研究をしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。

P.92
◆3番議員(末吉利啓) 再質問いたします。
近居を想定したとき、すぐに親世帯の近くに家を買ったり、建てたりすることは簡単ではありません。現実的には、賃貸住宅を選択する世帯が多いことが考えられます。まず、近居のメリットを感じていただくために、近居世帯への賃貸住宅初期費用の支援などを検討してみてはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。

P.92
◎都市建設部長(金子裕之) 議員御指摘の近居に係る支援につきましては、その支援の対象者の範囲ですとか支援の内容等々、さまざまな課題があると考えておりますので、これがどのような手法があるのか、今後調査研究をしてまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。

P.92
◆3番議員(末吉利啓) 住宅の補助支援以外にも、公営住宅に関する検討も考えられます。例えば子育て世代近居優先入居制度の検討や子育て世帯用期限つき住宅の制度の見直しなど、あきのある公営住宅の有効な利用手段ともなり得ると考えます。この点も踏まえ、住宅支援制度の調査研究をお願いいたします。
再質問いたします。子育てに関する規範意識を高めたり、祖父母世代が孫の面倒を見たり、一緒に過ごせたりすることの楽しさを感じたりできるようなイベントや啓発事業も有効と考えます。こういったソフト事業に対する考えや実施状況をお伺いいたします。

P.92
◎健康福祉部長(平澤敏明) 本市では、祖父母世帯とお孫さんとの交流を通して、祖父母自身の健康と生きがいづくり、これを支援する観点から、スマートウエルネスと絡めまして、いくじい☆いくばあ講座という事業を、孫育て講座なのですが、平成28年度から始めました。また、公立保育所では、1日保育士体験、これを実施しております。多数の祖父母世代に参加をいただいております。民間保育園でも同様に世代間交流事業ということで、祖父母と地域の高齢者を巻き込んだ事業を取り組んでいるところであります。これらの事業は、子供たちに敬老の心を育むとともに、家族のきずなを深めて、地域ぐるみの子育て社会の実現を目指したものでありますけれども、祖父母とお孫さんがイベントを通して一緒に過ごす時間を持つ。その延長として、近居・同居につながる効果も期待できるものと考えています。

P.93
◆3番議員(末吉利啓) ただいま御答弁のありました事業に関しましては、一定の効果があると評価をしております。ほかにもスポーツ観戦や尊氏公マラソンのようなイベントに3世代あるいは孫と祖父母で参加した場合の割引や優待制度なども考えられます。近居・同居の意識を高められると考えますので、ぜひ御検討ください。
最後に、市長に再質問いたします。繰り返しになりますが、働きながらでも子育てをしやすい環境をつくる手段として、近居・同居の推奨は有効です。大がかりな予算措置が必要な補助金型の事業から、低予算で可能なイベントや啓発系のソフト型事業までさまざま考えられます。子育てしやすいまち足利を目指すために積極的に調査研究を進めるべきと考えますが、これまでの議論を踏まえ、改めて御所見をお伺いいたします。

P.93
◎市長(和泉聡) 二、三年前だったと思いますが、NHKのある番組で、たしか福井県の県庁だったと思いますけれども、県庁の職員の女性がチームをつくって東京に行って、大学を卒業する就職を探している福井県出身の女性を集めて食事会をやったりというような取り組みで、何とか福井県に帰ってきてもらいたい。その中の一つの大きな柱に、お父さんとお母さんの近くに帰ってくれば、将来結婚してお子さんができたときにすごくお父さん、お母さんに手伝ってもらえるし、すごくいいですよという、そういう趣旨が柱の一つでありました。そういう特集を見たことがあります。大変いい視点だなと思って、職員にも見るように知らせた記憶があります。
行政ができることと民間にやっていただくことと、なかなか仕分けをしなければならないという部分だと思いますけれども、いずれにしろこういう時代、少子高齢化の中にあって、親類、血のつながった人と近くにいることの安心感、いざというときの手助けしてもらえるという安心感が、そういう若者の子育てやいろいろな意欲につながってくるということは、大変そのとおりだと思いますので、いろいろな方面からまた施策の上からも、ただこれをやればということはなかなかないのだと思いますけれども、どういうことが有効か、また議論を深めていきたいというふうに思っています。

P.93
◆3番議員(末吉利啓) ただいま御答弁のありました福井県は非常にそういった3世代同居、あるいは持ち家が多かったりと、いろいろ参考になる点が多いと思いますので、こういった部分も調査研究をしていただければと思っております。
子育て環境の充実による出生率の向上には、さまざまな角度から複合的に制度を整えていく必要があります。環境を阻害する穴を一つ一つ埋め、充実した子育て環境を該当する世代に正確に伝えていかなければ効果が出ません。国土交通省の住生活基本計画にも、世代間で助け合いながら子供を育てることができる3世代同居・近居の促進が示されております。こういった状況も鑑み、本市でも近居・同居の推奨でその穴をしっかり埋めていただくための調査研究を進めていただければと思います。
次の質問に移ります。渡良瀬川の活用について質問いたします。平成29年3月、本会議での一般質問では、渡良瀬橋のライトアップ、中橋、渡良瀬橋間の河川敷ウオーキングコースの整備、駐車場整備など、具体的な御提案をいたしました。今回は、国の動向を踏まえ、全国で推進されているさまざまな水辺ににぎわいと新たな価値を生み出す事業についてお伺いいたします。
本市の中央を流れる渡良瀬川は、江戸時代から舟運による運送業、織物産業、漁業など、これまで多くの恵みを私たちにもたらしてきました。現在は、河川敷が野球場やサッカー場、イベント会場として整備され、市民の憩いの場となっています。しかしながら、河川敷における未利用地の存在や整備された公園等の利用頻度を考えますと、まだまだ活用できるポテンシャルがあると考えております。他市の成功事例を参考に、渡良瀬川において水辺ににぎわいと新たな価値を生み出す事業を模索し、さらなる有効活用を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

P.94
◎都市建設部長(金子裕之) ただいまの御質問にお答えします。
渡良瀬川は、市街地の中心部を流れ、多くの市民に親しまれ、まちに潤いを与えるなど憩いの場となっております。本市では、この河川空間を有効利用するため、昭和48年から渡良瀬運動場や中橋多目的広場、渡良瀬ウオーターパーク、足利渡良瀬ゴルフ場など約80ヘクタールを整備し、これまで市民を初め多くの方々に利用されております。さらに、現在国と協働で行うかわまちづくり支援制度を活用して朝倉・福富緑地などを整備し、さらなる活用を進めていきます。
一方で、中橋多目的広場では、東武足利市駅やJR足利駅から駅に近い利便性を生かして、各種団体や個人で趣向を凝らした数多くのイベントが年間を通して開催されており、毎回活気にあふれております。また、日常の散歩コースやまちなかウオークのメーン会場になるなど、スマートウエルネスの推進にもつながっております。このような市民による取り組みなどの活動は、河川空間の有効活用、魅力の向上、さらには観光誘客につながるもので、大きな期待を寄せているところです。渡良瀬川のさらなる有効活用は、市街地の活性化にも寄与するものと考えられますので、これらの事業に対して今後とも支援してまいります。

P.94
◆3番議員(末吉利啓) 再質問いたします。
先ほどの御答弁にもありましたが、最近の事例として、五十部町並びに朝倉・福富緑地で行われているかわまちづくり事業があります。当事業は、国土交通省の支援のもと、良好なまちと水辺の融合した空間形成を目的としています。特に朝倉・福富緑地においては、未利用地を有効活用した水辺を形成できること、ヤブを整理したことで不審火やイノシシ対策になることなど評価できる点が多い事業となっています。当事業は、同緑地のようにハード整備の支援も実施しています。本市において未利用地の整地、階段や進入路、転落防止柵などの整備により、今以上に魅力的でにぎわいのある水辺空間をつくれる場所がほかにもあるのではないかと考えています。今後さらなる候補について検討するお考えがあるか、本市におけるかわまちづくり事業の展望とあわせてお答えください。

P.94
◎都市建設部長(金子裕之) かわまちづくり支援事業でございますが、現在の予定では朝倉・福富緑地につきましては平成31年度に完了をする予定です。その後、五十部地区、具体的には競馬場の南側になりますけれども、五十部地区の整備に入っていくと、このような予定になっております。具体的な内容につきましては、渡良瀬川河川事務所と協議していきながら、今後計画を決めていくと。このようなことになっております。また、さらなる候補地につきましては、渡良瀬川河川事務所との共同事業でございますので、国等の意向も伺いながら進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

P.94
◆3番議員(末吉利啓) ぜひ積極的に議論をお願いいたします。
再質問いたします。水辺の利活用について、ソフト面での動きとして、ミズベリング事業が全国的に広がりを見せています。当会派あしかが未来倶楽部でも、平成29年7月に新潟市のミズベリング信濃川やすらぎ堤を視察してまいりました。新潟市は、平成28年に都市地域再生等利用区域に指定されたことにより、国土交通省北陸地方整備局信濃川下流河川事務所と連携をし、通常設置できない商業施設を堤防の天端に設置をし、河川敷を飲食会場とし、夏場の新たなにぎわいを創出しました。平成28年度のデータですが、開催期間3カ月で延べ3万人の利用者、売り上げも延べ7,400万円に上りました。平成29年は、世界的アウトドアメーカーで地元企業でもある株式会社スノーピークが運営者となり、さらに注目を集めたところであります。
さて、ミズベリング事業について、都市地域再生等利用区域の指定も含めて、本市においても可能性のある事業ではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。

P.95
◎都市建設部長(金子裕之) 議員御指摘のとおり、ミズベリング事業につきましては、水辺の有効活用、こういったことを目的に、市民、企業、行政、こういったところが一つになって活動するというような事業でございます。
一つの例でございますけれども、平成28年度、渡良瀬川河川事務所の職員の方が、7月7日午後7時7分に水辺で乾杯ということで、河川敷の公園を利用して職員の方がイベントをやったというようなことも聞いております。今後本市においてもどのようなことができるか、渡良瀬川河川事務所と協議をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。

P.95
◆3番議員(末吉利啓) ぜひ積極的に意見交換等をしていただいて、さまざまな情報を収集していただきたいと思います。また、他市でもこういった川を活用したさまざまな事業が進んでいるところもありますので、そういったところからも積極的に情報収集していただきたいと思います。
前回御提言をさせていただきました渡良瀬橋河川敷のライトアップによる夜景観光資源の開発、スマートウエルネスの拠点整備、そして今回のかわまちづくり事業、ミズベリング事業による新たなにぎわいと価値の創造で、水辺を活用したオンリーワンの全国に誇れるまちづくりができるはずです。大変夢のある事業が渡良瀬川というまちのど真ん中で展開できますので、市民に与える心理的影響も大きいはずです。さまざまな課題もありますが、ぜひ積極的に調査研究を進めていただければと思います。
次の質問に移ります。文化振興についてのうち、田崎草雲について質問いたします。田崎草雲は、最初の大日本帝室技芸員に選ばれた日本を代表する文人画家というだけでなく、激動の明治時代から足利を守り抜いた恩人でもあります。戊辰戦争では、誠心隊を組織して中心地を戦災から守り、県によって足利学校所有の国宝を含む書物や孔子廟が売却されそうになったときも、命がけでそれを阻止したと言われています。また、領地を取り上げられ、資金難で苦しむ鑁阿寺に対しては多くの寄附を集め、現在国宝に指定されている本堂の修復を実現しました。今の歴史観光都市足利があるのも、全身全霊で足利を守った田崎草雲抜きでは語ることができません。
そんな田崎草雲の顕彰を今後どのように進めていくのか、お聞かせください。
また、田崎草雲の作品を見ることができる草雲美術館は、昭和46年に鈴木栄太郎氏が私財を投じて建設され、本市に寄附されたものです。平成31年には、開館50年の大きな節目を迎えます。草雲に関連する多くの文化財や草雲美術館の観光活用を今後どのように進めていくのか、お聞かせください。

P.95
◎教育次長(松村伸二) ただいまの御質問にお答えします。
初めに、田崎草雲の偉業を今後どのように顕彰していくのかについてです。田崎草雲は、幕末から明治にかけて活躍し、代表作品となった富嶽図は、シカゴで開催された万国博覧会で名誉大賞牌を受賞するなど、日本を代表する本市ゆかりの日本画家です。また、足利学校の貴重書の保存にも尽力するなど、本市にとっての恩人でもあります。こうした事実は、今後も末永く顕彰すべきだと考えております。
現在は、小学4年生の副読本「のびゆく足利」で、草雲自身や草雲を取り巻く人物を紹介しています。今後の顕彰活動として、特に子供たちにもこうした偉業に興味、関心を持ってもらうため、容易に内容を理解できるパンフレットを作成し、広く活用してまいりたいと考えております。
次に、田崎草雲に関連する文化財を今後どのように観光資源として活用していくのかについてです。現在草雲の居室、画室及び茶室と、草雲美術館を含む敷地全体が田崎草雲旧宅跡として市の指定史跡となっております。ここは、八雲神社と並ぶ観光スポットとして、春はしだれ桜、秋は紅葉が美しく、魅力ある庭園となっており、来訪するお客様にも四季折々の風景を楽しんでいただいています。今後は、さらにホームページを活用し、多くの方々にこの癒やしの場を知っていただきたいと考えています。そして、草雲の作品展示とともに、庭園コンサートや茶会、さらには白石山房や庭園の魅力を最大限に生かした企画なども検討し、文化財を積極的に観光資源として活用してまいります。

P.96
◆3番議員(末吉利啓) 御答弁にありました子供向けのパンフレットについて再質問いたします。
たとえつくったとしても、読んでいただかなければ始まりません。やはり魅力的なデザインと伝えやすい構成力は必須です。そこで、職員が苦労しながらなれないソフトで製作するのではなく、しかるべきところに製作をしていただく必要があると考えます。実績のあるデザイナーや商工振興課で実施しているクラウドソーシング実証事業のセミナー受講者に委託するなど、外部への委託を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

P.96
◎教育次長(松村伸二) パンフレットについてでございますが、御指摘のとおり、皆さんに読んでもらいたいと、そう思えるようなよいものをつくっていかなければならないと考えております。
そこで、作成に当たりましては、草雲の画業を顕彰しまして、草雲美術館を盛り上げるために結成されました、民間団体の画聖草雲会の皆様の意見や学校なども含めて、いろいろな意見を頂戴しながら、魅力あるパンフレットの作成に努めてまいりたいと考えております。

P.96
◆3番議員(末吉利啓) 再質問いたします。
草雲美術館等の管理規定を定めた条例に、足利市草雲史跡条例があります。この第4条に主たる事業として、田崎草雲及びその関連するものに関する美術作品及び資料を収集し、保管し及び展示することとあります。この事業は、現状でしっかりと実施ができているのか、お伺いいたします。
また、足利市歴史文化基本構想に示されている2の29、教育研究所と連携をして普及啓発を図るは、現在どこまで具現化できているのか、お伺いいたします。

P.96
◎教育次長(松村伸二) 草雲の画業、遺徳ということで、こういったものを広めるために、毎年5回の企画展、特別展を実施しております。また、2年に1度開催しています草雲作品鑑定会、これを通しまして、作品の発掘や美術館への作品寄贈を呼びかけるなど、収蔵品の充実を図る活動もしております。また、収蔵庫の整備につきましては、今後十分研究をしてまいりたいと考えております。
また、教育研究所と連携した普及啓発ということでございますが、現在教育研究所のホームページにおきまして、田崎草雲を初め弟子やゆかりのある人物について写真を加えた解説、小学生にもわかりやすいような表現でホームページに載せているところでございます。

P.97
◆3番議員(末吉利啓) まず、教育研究所との連携についてですが、ホームページのみでは不十分と考えます。先ほどの子供向けのパンフレットを活用しつつ、ゆかりのある地区の小中学校での啓発事業や織姫公民館などで常設講座を開設するなど、より効果の高い持続性のある事業の展開を望みます。
また、美術館の事業として、特に保管の部分では、収蔵庫に作品が入り切らない状況を私自身確認をしております。事業の的確な実施のためにも、収蔵庫の整備について十分な御検討をお願いいたします。
再質問いたします。草雲美術館の近年の来館者数の推移、施設管理の状況、顧客満足度をどのように評価しているか、お聞かせください。

P.97
◎教育次長(松村伸二) ここ数年の来館者数の推移でございます。平成26年度は4,870人、平成27年度は4,712人、昨年の平成28年は3,277人となっておりまして、傾向としましては減少になっております。
次に、施設についてでございますが、施設も老朽化が進んでおりまして、ここ数年におきましてはあずまやの修繕、そして茶室、画室の畳の表がえ、さらにはかやぶき屋根の修繕など、細かな修繕をしているところでございます。
また、顧客満足度の評価についてということでございますが、美術館ではアンケートをとっております。内容につきましては、展示を何で知ったか、一番印象に残ったことは、また展示内容は満足だったかというようなことを記入していただきまして、その集計を分析してみますと、満足度におきましては約70%の方が満足というような結果も出ております。こういったことから、来場者からは一定の評価を受けているものと思っております。

P.97
◆3番議員(末吉利啓) 先ほど御答弁にありました女性トイレ等の整備、あるいは最初にありました各種イベントの開催は、市民団体である画聖草雲会が実施をしたものです。草雲美術館及び白石山房は、開館以来市から抜本的な予算措置がなされず、市民力に依存し続けている現状があるということも御指摘申し上げます。
再質問いたします。草雲美術館管理運営費の予算額は、平成26年度で425万円でした。それが毎年数十万円削減され続けています。平成27年度の田崎草雲生誕200年も削減傾向は変わりませんでした。予算減に伴う人件費削減、人件費削減に伴い来場者への解説体制の強化や結果を伴った魅力発信事業もできておりません。また、施設整備も含めた抜本的改善策も打てていないため、来場者が減少する負のスパイラルに陥っています。ここから早急に抜け出し、本市の大切な歴史文化資源を有効に活用する道筋をつくるべきではないでしょうか。
そのためには、当美術館の何が問題で、何を改善すればいいのかといった客観的な事実がわかる基礎資料が必要です。現在のアンケートは目立たないところに設置してありますし、項目も不十分なため、満足した人、していない人の正確な実態がつかめておりません。来場者に対するアンケートの項目、方法の見直し、関係者や専門家に対するヒアリング等でより実践的な実態調査を行うことが必須と考えますが、いかがでしょうか。

P.97
◎教育次長(松村伸二) 実態調査につきましては、御指摘を踏まえまして、今後はアンケートだけではなく、来場者、また関係者へのヒアリングを行うなど調査を実施してまいりたいと考えております。その上で、今後の企画展、特別展示などを行う場合の文化資源の活用について、その基礎資料を十分活用して反映をしてまいりたいというふうに思っております。

P.98
◆3番議員(末吉利啓) 草雲美術館と関連資料の有効活用を具現化するために重要な実態調査になります。その結果をもとに、平成31年の開館50周年に向けた効果的な一手を御期待申し上げます。
その上で、美術館整備やソフト事業については、文化庁の地域の核となる美術館・博物館支援事業や以前から御指摘している歴史的風致維持向上計画策定による拠点施設整備に関する補助制度もございます。また、墨田区にオープンしたすみだ北斎美術館のように、浄財を募る方法もあります。国の後押しや市民、元市民、草雲ファンの後押しを有効につなぎ合わせ、草雲の偉業と貴重な歴史文化遺産を未来に誇れる形で継承していただきたいと思います。
次の質問に移ります。選挙啓発についてのうち、投票率の改善対策についてお伺いいたします。18歳以上の選挙権年齢引き下げから1年以上が経過しました。これからの日本を担う若い世代が政治に興味を持ち、選挙に積極的に参加していくことは、持続可能な日本社会をつくっていくための最重要課題でもあります。
そこで、本市における高校生への選挙啓発の現状はどのようになっているのか、お聞かせください。
また、先日行われた衆議院議員総選挙の本市投票率をどのように分析しているのか、お聞かせください。

P.98
◎行政委員会事務局長(村田栄二) ただいまの御質問にお答えいたします。
まず、高校生の選挙啓発の現状についてですが、本市では高等学校との連携により選挙の意義、選挙の仕組み、投票方法など選挙に関する理解を深めるための出前講座の実施や生徒会役員の選出の際に選挙をより身近に感じてもらえるよう、投票箱や記載台などの投票機材の貸し出しを行っています。また、選挙時には、高校生による啓発チラシ配布などの街頭啓発を実施しています。これらの事業は、選挙権年齢の引き下げを契機として平成27年から開始したものですが、近い将来有権者となる生徒に対しても効果的な事業であると考えておりますので、今後も引き続き継続したいと考えています。
次に、衆議院議員選挙における本市の投票率の分析についてですが、本市の投票率は51.66%で、前回の選挙と比べ2.64ポイントの増、また県の平均投票率や栃木県第5区の平均投票率を上回る結果となりました。また、期日前投票については、台風の影響もあり、前回比で65.2%の増、全投票の25.9%を占める結果となりました。しかしながら、全体的にはおおむね2人に1人が投票していないという状況であり、特に20代の投票率が低い傾向が続いていることから、これらのことを踏まえた啓発や投票環境の向上に努めてまいりたいと考えています。

P.98
◆3番議員(末吉利啓) 高校生の啓発については、総務省の抽出調査で20代の投票率が低迷する中、18歳が50.74%と極めて高いことから、全国的に大きな成果を上げていると評価できます。これからも改善を重ね、積極的に続けていただけることを御期待申し上げます。
再質問いたします。今回の総選挙において、足利市の投票率が他地区よりわずかに高いことは、有力な対抗馬が立ち、注目を集め、現職、新人とも足利市在住であることを考えれば、当たり前と考えるほうが自然です。今回問題視しているのは、期日前投票所の数と期日前投票率の相関関係です。
期日前投票所は、栃木5区内において佐野市4カ所、栃木市7カ所に比べ、足利市は18カ所と群を抜いています。それに対して、投票者全体に占める期日前投票率は、足利市が25.9%に対し、佐野市32.6%、栃木市42.9%となっています。つまり本選挙区において期日前投票所の多さイコール期日前投票率の高さの図式になっていないことがわかります。市民の認知度、費用対効果、投票率全体への波及効果を踏まえ、本市の期日前投票率の伸びが、期日前投票所の数に対して低調な原因をどう考えているのか、お聞かせください。

P.99
◎行政委員会事務局長(村田栄二) 期日前投票は、投票日当日に投票所に行くことができない選挙人が事前に投票していただくという制度でございますけれども、本市の期日前投票率は近隣市と比べて低くなっております。ただ、当日の投票を含めた全体の投票率は、今回衆議院議員選挙では県平均を上回っておりますので、本市の期日前投票率が低い現状を分析しまして、投票率の向上に努めたいと考えております。

P.99
◆3番議員(末吉利啓) ぜひ本市18カ所も期日前投票所を設置しておりますので、しっかりと原因を分析していただきたいと思います。
再質問いたします。午後8時まで実施をしている期日前投票所が18カ所中1カ所ですと、利便性が高いとは言えません。商業施設に期日前投票所があれば、買い物をしながら手軽に投票に行くこともでき、利便性が大きく改善します。商業施設については、以前の一般質問でも御提言をしたとおり、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会の最終報告でも、同伴する子供への選挙啓発にもなる、取り組みをさらに広げていく必要があると指摘されております。
福井市では、市内6カ所の商業施設に設置をしたところ、平成25年の参議院議員選挙で投票率49.33%が、平成28年には53.18%と大幅に改善しています。また、今回の総選挙では、県内でもアピタ宇都宮店、イオン栃木店、イオンタウン真岡に設置をされています。特に同じ栃木5区の栃木市ではその効果が顕著で、投票率全体の伸びが足利市の前回比2.64ポイント増に対し3.47ポイント増、期日前投票率も足利市65.2%増に対し105.3%増と大幅に上回っております。先ほどの期日前投票率低迷の原因調査と栃木市のような先進地の研究も踏まえてとなるでしょうが、財源にも限りはありますので、既存の期日前投票所の適正数と適正配置、商業施設への期日前投票所設置を包括的に議論すべきと考えますが、いかがでしょうか。

P.99
◎行政委員会事務局長(村田栄二) 商業施設におけます期日前投票につきましては、今回の衆議院議員選挙のように急遽選挙を執行するような場合、安定した設置場所の確保ができるかどうかといった、そういった課題も考えられますが、御指摘のように、県内で3カ所の実施例がございますので、これらを参考にしながら検討してまいりたいと考えております。

P.99
◆3番議員(末吉利啓) ぜひ他市の事例を参考にしつつ、また市内のそういった商業施設の方と下話をするなど、さまざまな情報交換を積極的に行っていただきたいと思います。
きのうの横山議員の発言にもありましたとおり、私たち議員も選挙啓発や政治に興味を持っていただける取り組みをさまざまな角度で行っております。選挙管理委員会、議会、学校、メディアなどさまざまな分野から同時多発的かつ連携をした選挙啓発を進められる体制を目指し、今後とも御尽力いただけますようお願い申し上げます。
ただいまの村田事務局長の御答弁をもちまして、私の質問を全て終了とさせていただきます。

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