足利市の公共施設の多くが老朽化をしていて、その維持管理が大きな問題となっていることは、皆様もご存じだと思います。それを、組織をまたいでダイナミックに解決に導いた事例が、表記の「消防本部・医師会館建替えと保健センターの移転」です。

まずは保健センターです。
こちらは昭和56年建設の老朽化した施設です。子どもの診察や健康診断などに使われている施設ですが、建替えか大規模改修かで議論をしていました。そこへ隣接する医師会館(足利医師会)に建替えの話しが出てまいりました。足利市と医師会は協議の末、本城町の足利短期大学付属高校体育館の南側の市有地を医師会に提供し、新たな医師会館を建設することになりました。その代わりに、消防本部と保健センターに隣接する現医師会館の土地を市が入手する等価交換を行いました。

再編イメージ

■等価交換をした土地
市有地(本城3丁目2022番地7、8) 面積1244㎡ ※旧職員駐車場
医師会所有地(大正町863番地5ほか) 面積1222.2㎡

そしてその新医師会館の中に、保健センターと健康増進課が間借りをするという選択をしたのです。人口減少を鑑み、維持できない建物を作るよりも賃貸の方が経費を低く抑えられると考えたのです。

■縮減効果
延床面積 旧保健センター/2219㎡
 → 現保健センター/1174㎡=単独利用756㎡+共用418㎡(※1045㎡の縮減効果)
 
現在、供用が開始された新保健センター利用者からは「明るくてきれい」「相談に行きやすくなった」などと好評をいただいています。また、駐車場も大きくなり利便性も更に向上しました。

2019年3月にオープンした新医師会館内の保健センター

利用者にも好評な保健センター内部

これまでの「市の建物は市が建てなくてはいけない」という固定概念にとらわれず、民間の施設を借りるということが、重要な選択肢となることを示した事例だと感じました。栃木県内でも珍しい事例で、これが今後の県内公共施設マネジメントの大きな潮流を生み出すこともできるのではないでしょうか。

そして保健センター、医師会館が移転した一段の土地を利用できる消防本部をどうするのか、その2へ続く。