観光地にとって、どこに駐車場があって、どこから行けば観光スポットにたどり着けるのかなどを示した「観光サイン」は必要不可欠なものです。

私は「観光地としての現在の足利市は過渡期にある」と考えています。年間観光客数も400万人を突破したとはいえ、佐野市の870万人、1139万人(共にH28年)に比べまだまだ多くありませんし、観光都市としての意識醸成も十分ではありません。それを補う意味での「観光都市宣言」でもあるわけですが、全体的に見ると観光地としてのホスピタリティは一流とは言えない状況です。

そこで今回、市では「歩いて健康になる観光地創出事業」として、まちなかに回遊サインを整備しています。私自身、観光客や観光関連事業者から

「観光地へのアクセスが分かりにくい」
「マップを示したサインがない」
「駐車場が見つからない」

などのご意見をいただいていたので、大変評価できる事業だと感じております。

塗装され回遊サインへと生まれ変わったトランス

サインを設置するのは電柱の地中化で設置された「トランス」という箱状の機材です。そこに景観を意識した「こげ茶色?」に塗装をし、誘導サインと観光マップを設置しました。平成29年度、平成30年度と続けて整備し、合計で18基が「まちなか回遊サイン」へと変貌します。事業費は一基当たり25万円で、別途清掃などの年間維持費が一基当たり7千円かかります。

この事業の特徴は、新たにポールなどを立てて構造物を作るのではなく、既にあるものにサインを設置して効率化した点、過剰なサイン設置による景観悪化を防止した点、英語表記もされている点があげられます。県内では日光市が防災事業として避難場所案内を設置したのに次ぎ2番目の事例となります。

これからの足利市にとって、観光サインを含めたホスピタリティの問題は、様々な観点から改善をしなければいけません。サインについては、今まで市をはじめ多くの団体が、総合的に連携した計画なしに設置を進めてきたところがあります。

「わかりにくいサイン」
「今は存在しないものが掲載されたサイン」
「劣化して剥がれそうなサイン」
「内容に間違いがあるサイン」

などが市内各所に存在します。

こうした問題を解決し、各団体がある程度統一したガイドラインや方針に基づいたサイン整備を行うことが、観光客へのホスピタリティアップや景観の改善につながるはずです。いずれにせよ今回の「まちなか回遊サイン」は、これからの観光都市足利のサイン整備に一石を投じたのではないでしょうか。