遅くなってしまいましたが、教育経済建設常任委員会の視察報告をさせていただきます。
(※足利市議会HPでもアップされる内容よりも長文です)

2日目は安孫子市の「新規就農支援事業」について、安孫子市環境経済部農政課の方からご説明をいただきました。

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農地イメージ

我孫子市は足利市の1/3程度の面積に13万人の人口を抱えています。手賀沼の北に位置し東西に長い市域には多くの農地を抱えていました。東京から30kmに位置することから、昭和40年代から急速なベッドタウン化が進み農地は激減しました。昭和50年の農家数1168名がH27年には417名に、経営耕地面積も1255haから773haと、共にに約半減しています。これに伴い耕作放棄地(※農作物が作られず放置された農地)も大きな問題となっています。

そこで我孫子市では新規就農者を増やし農地を蘇らせるため、他市に類を見ない多くの支援事業を行っています。

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我孫子市独自の支援と国の支援(我孫子市HPより)

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我孫子市の新規就農者の皆さん(我孫子市HPより)

新規就農者にとって大きな壁となる農地の取得には随時あっせんを行い、農地の賃借料補助を行っています。農業を学ぶための研修費補助や研修受入農家の斡旋を行い、農地を見つけ自立するまでの実践農場も提供しています。また、H27年からは「我孫子市新規就農者連絡協議会」を設立し、農業という新しい世界で奮闘している仲間同士が、助け合える環境づくりも行っています。国の新規就農総合支援事業と組み合わせ次第で、大変心強い支援を受けられる印象でした。

農業という世界に新たに参入された就農者をフォローするため、農政課の方々は既存農家と新規就農者の仲介、斡旋、ヒアリングなど、実にきめの細かい仕事をされているようです。その結果、H21年から始まった本事業において途中で離農された方は1人も出ていないそうです。(H27年現在で合計19経営体24名が従事)

課題としてはこれらの支援が期限(5年)を迎える今後、経済的な支援なしでしっかりと自立できるかがあげられました。他の分野の支援事業にも言えることですが、期限が切れるまでにどこまで、経営者としての力を付けられるかが大変重要です。

本市にも国の制度を年齢的な部分で補完する「新規就農塾」や、先進事例を現場で学べる「農業大学講座」がありますが、我孫子市の様にもう一歩進んだ就農支援も検討の余地があると考えました。

 

【参考】足利市の農業
■農業生産額/6,040,000千円(H17農林業センサス)
■農家総数/2,869戸(H17農林業センサス)
■農地面積/2,012ha(H27) ※毎年平均30ha減
■耕作放棄地/44ha(全体の1.9%)(H27)