このシリーズ、前回からだいぶ経過しての更新になります。申し訳ございません。

さて、今回は予算についてお伝えします。
 
予算と決算、どこの会社や組織にもあると思います。
「今年はこれくらいの収入が見込まれてこれだけのお金を使う予定です」という予算に対して、「今年は実際これだけの収入があってこれだけの支出をしました」が決算です。
 
地方自治体において、この予算と決算は議会に持ち込まれ審査されます。市民の代表である議員が、市民からお預かりしている税金の使い道をチェックする、大切な仕事になります。
 
地方自治法により、市長は予算案を年度開始前に議会に提出することが義務付けられています。(予算発案権)
更に第96条には議会がそれを議決する義務を定めています。
 

つまり、市長が「○○年は税金をこんな感じで使いたい」と案を出し、議会が「これなら許可します」あるいは「こんな使い方では許可できない」と決定を下すことができます。

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もし仮に予算案が否決されると、円滑な行政運営の執行ができなくなり、市民生活への影響が大きいため、市長は否決されないような予算案を提出する必要があります。
 
例えば、議会の一般質問で必要性が訴えられていた政策が予算化されていたり、不必要ではないかと訴えられていた事業の予算が削減されたりなど、議会の意見を反映されていることが重要になります。
 
また、予算案は増額または減額修正を求めることもできます。増額の場合は市長の「予算発案権」を侵害しないというシバリがありますが、減額の場合はシバリは少ないです。
 
ですが、日本の地方議会においては修正もほとんどなく、議会と市長とが調整をし可決されることが多いというのが現状です。
 
その理由として、予算を否決することは市民生活への影響が大きく、議会と市長との間に高い緊張関係を生むという側面があるからです。
ご記憶にあると思いますが一時期、愛知県名古屋市や鹿児島県阿久根市の議会が大荒れになり連日メディアを賑わせました。
議会と市長との緊張関係はあってしかるべきですが、過度に高まりすぎると予算や議案が通らなくなり、市民サービスが悪化する可能性もあります。
議会、市長共に高いバランス感覚が求められるわけです。
 
では、予算審査は不要かと言えば決してそうではありません。
予算案を事業1つ、職員1人、予算1円から細部までチェックすることは重要です。
 
「議会は可決してくれるだろう」
「誰も質疑をしないだろう」
 
という空気は行政内部から緊張感を奪います。
 
行政の予算に対して常に議員の目が光っているという、良い意味での緊張感を持っていただいてはじめて、質の高い仕事ができると思います。もちろん何かあれば、それを可決した議会にも責任が生じます。
 
市役所の職員には煙たがられますが、これが市議会議員の仕事です。
これをするために私は市議会議員になりました。
当たり前ですが、これが市民のための仕事です。
 
現状、このチェック体制を強化するためには課題も多いと思います。
それについてはまた後日お話いたします。