今日8月15日は70回目の終戦記念日です。
日本とアメリカを中心とした連合国が戦ったいわゆる太平洋戦争が終結した日です。

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今年は安全保障関連法案の審議と節目の戦後70年が重なり、戦争と言うものに対する国民の反応も大きくなっているように感じます。
SNS上では連日「戦争の悲惨さ(反戦反軍系)」を伝える記事や、「戦前日本を見直す(日本賛美系)」記事のシェアがタイムラインを踊っています。
伝えたい気持ちはよくわかりますが、情報を得る側のリテラシーが備わっていないと記事を鵜呑みにしてしまい、他の情報を受け入れられなくなります。
こういった情報を得る際は、ぜひその情報を精査してください。わからなければ詳しい人に聞いてみましょう。

さて、今日行われた全国戦没者追悼式で以下のような数字が報道されました。

 


 

【追悼式参加遺族】
■戦没者の妻・・14人(過去最少)
■70歳以上・・約80%
(参照/NHKなど)

 


70年は長いです。そうこうしている間に戦争経験者は毎年亡くなっていきます。

そういった中で私たちが今すべきことは何なのか。

拡張路線をとる中国、核の脅威をチラつかせる北朝鮮、世界各地で起きているテロ事件。
70年前とは全く違う脅威に対して、私たちが今すべきことは何なのか。

集団的自衛権の名の下、日米安全保障条約をより強固なものとして抑止力を高めることは重要な事です。しかし、それと同時に新たに現れるであろう脅威と戦う覚悟を私たち日本人が持つ必要がでてきます。
アメリカの力が衰えてきた今、お金だけで平和を買えた時代は終わりつつあります。

「平和はタダではない」

そういった世界的常識を私たちも真剣に考え、日本の平和をどのように守っていくかを議論しなくてはいけません。

しかし、その前にやることがあります。

「戦争を知ること」です。

ほとんど(少なくとも70歳以下)の日本人は戦争を体験したことがありません。
目の前で家族や友達が殺された経験もありません。私自身、そうした大多数の日本人のひとりです。

そんな戦争を知らない世代が、闇雲に戦争を議論していいのでしょうか。
戦争の悲惨さを知ってしまうとその恐怖心から、議論が硬直してしまうかもしれません。
ですが、そこから逃げずに戦争を知ること、学ぶことをしなければ深みのない軽率な議論に陥ってしまうのではないでしょうか。

私は極力、戦争経験者からお話を伺うようにしています。(もちろんご本人の意思を尊重します)
戦争の悲惨さと当時の高揚感や時代の空気、そういったものは本やビデオより経験者の言葉ですと重みを持ちます。原爆を経験した方、南方戦線で戦った方、沖縄戦を経験した方、元ひめゆり学徒隊の方。そういった方々の話を聞くことは辛いです。言葉を失うこともあります。ですがそういった戦争の現実を聞かずして平和を語ることは、あまりにもリスクがあります。

私の母方の曾祖母は戦時中、たまたま転んで怪我をした子どもを手当てするために防空壕へ入りました。その直後に空襲され、壕を出たところ目の前には壊滅したまちが広がっていたそうです。
父方の曽祖父は、当時樺太(サハリン)に住んでいましたが、日ソ中立条約を破棄したソ連軍に襲われ、命からがら本土に帰ってきました。

こういった話を聞いても一歩間違えば自分も存在しなかったであろうし、戦争が私たちに無関係だとは思えなくなります。私たちもどこかしらで戦争と関係しているはずです。

このように、私たちの曽祖父母、祖父母の世代は戦争を知っています。ご存命であればお話を聞くことができます。

今を生きる私たち、子どもたちの未来を守る使命がある私たちが今すべきことは、「戦争を知ること」ではないでしょうか。

戦争を知らずして平和は語れません。

戦争を知り、学んだ上で、平和とは何か、平和を守るためには何が必要か、日本人全体でしっかりと議論していくべきだと思います。

ぜひ、みなさんのご家族やお知り合いでそういったお話を聞かせていただける方がいらっしゃれば、戦争を教えてもらってください。

戦後70年、もう時間はありません。

 

【写真】
樺太の知取町で撮影された祖父(左から2番目)とその兄弟
残念ながら存命の方はおりません