先日おこなわれた市議会6月定例会本会議において、市議会議員になって初の一般質問をさせていただきました。その際に「市長の政治姿勢について(2) 映像のまち構想」と題した通告に基づき、映像のまち構想の展望や問題点などを議論させていただきました。

 

映像のまち構想は和泉市長が立ち上げた目玉政策です。映像というコンテンツを活用してまちの魅力を発信し、映画やドラマの撮影誘致などで経済効果を足利にもたらすことが狙いです。

昨年公開されたフジテレビジョン開局55周年記念作品「バンクーバーの朝日」のロケ、その他各種撮影を誘致し、市街地での衣装展や展示など回遊性を意識した仕掛けもなされました。

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映像のまち推進課ロケ情報

→ http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/life/3/90/534/

 

平成27年度は本構想に3920万円の予算が計上されています。昨年度の4500万円に続き大きな額の税金が投入されます。(※足利市の市税収入は185億円)

目玉政策ですので、相応の予算を割くことは重要です。しかしながら市民目線で考えますと、改善すべき点が多くあるように感じます。

 

まず現状についてですが、この構想に対する理解がまだ得られていないように感じます。直接の恩恵や影響を受けている中心市街地の方や宿泊業者、飲食店などからは一定の評価があります。しかし、その他の地域にお住まいの方、または普通にお勤めに出られている方からは以下のような意見が多く聞かれます。

 

「映像のまちが私たちにとって何のメリットがあるのかわからない」

「映画村つくるより他にやることがあるのでは」

「私たちには関係ない」

「映像のまちって何」

 

市政に対するアンテナの高い方や関係者以外には定着していないし、単なる「映画村構想」として認知されていたりしているのが現状だと考えられます。

立上げから2年が経ちます。予算も2年で9000万円近く使っています。映像のまち構想が成熟し、成功するためには「行政が勝手にやっていること」から「市民と行政がいっしょにやっていくこと」に発展しなくてはいけないと思います。

市民の賛同や応援がなければ、どんな政策や町おこしも魂が入らず失敗に終わります。市民が応援したい、手伝いたい、友達に自慢したい、そんな構想にするためにも以下の3点を進めるべきたいと考えています。

 

■映像のまちに係わる人を増やす

まずは情報です。「そんな撮影やってたの」など、興味があっても撮影情報やエキストラ募集の情報をキャッチできていない方が多数見受けられます。構想を少しでも自分ごとにしていただくためには関わることが一番です。興味のある映画や俳優などフックする情報があれば、エキストラやボランティアスタッフとして係わりたいと思っている「見込みファン」は確実にいます。そういった方に情報が届くように最低限、専用ホームページは準備するべきだと考えます。

(※一般質問でホームページ開設を検討する旨の回答をあり)

その他、メルマガ、SNS、タウン誌などへの情報提供、など積極的に映像のまちファンを増やしていくことが重要です。係わることでその楽しさや、やり甲斐を友達や家族に伝え、その熱が伝播していくことで市民が応援する構想に成長できるはずです。

 

■グランドラインを示す

映像のまち構想が足利独自の政策として、市民にどのような形で恩恵を届けていくのか、イメージができていない方が多いように感じます。

そこで市として本構想が今後どこを目指し、どのような展開をし、市民生活にどのように反映されていくのか、その道筋をできるだけ分かりやすく示すべきだと考えます。どんな良い商品だとしても、その商品がいくらで、どんな特徴やメリットがあるのかがわからなければ買えません。

 

■さまざまな活用を提案する

この構想はやりようによっては観光活用ができるのではないかと考えています。例えば聖地巡礼です。アニメファンやアイドルファンのなかには作品が撮影された場所や、縁の場所を巡る聖地巡礼をされる方がたくさんいらっしゃいます。あるアニメで有名になった埼玉県久喜市の鷲宮神社では、年間の参拝客が7万人から40万人にも増加するほどです。その外にも、韓流ドラマのロケ地を巡りに多くの日本人客が韓国を訪れるツアーなどが一世を風靡しました。

足利も有名な俳優やアイドルがたくさん撮影に来ているわけですから、そういったツアーを造成し売り出すべきだと考えます。その際に当時の様子がイメージしやすいセッティングや展示など、一工夫が必要だと思います。

(※一般質問で提案し前向きに検討する旨の回答あり)

その他に映画撮影などの職業体験をこどもの教育の一環に特別授業として取り入れることで、こどもたちの見識も広がりますし、その子たちの親にも伝わっていきます。

 

以上のような改善点を踏まえ、より市民と行政がしっかりと歩調を合わせ、同じ方向を向ける構想にする必要があります。目玉政策ということはある意味足利の命運を握る政策でもあるわけです。

市民不在の構想にならないように、市議会議員として動向を注視し、提案を続けていきたいと思います。