前回の文化財を保存、展示する公共施設の紹介の続きです。

③ふるさと学習・資料館(小俣町3306)
■建築年/昭和54年
■機能/西地区の埋蔵物、民俗資料、文書の展示・保管
■用途地域/市街化調整区域
■延床面積/1661㎡(※料理室なども含む)
■年間利用者/約1400人(※展示施設のみ)
■その他/廃校となった小学校を再利用、料理室と学習室がある、土砂災害警戒区域にある
■施設カルテ/https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/63729.pdf

こちらは3施設の中では最も大きく、埋蔵物や民具などが比較的多く展示されています。また、企画展示が行われることもあります。しかし、土砂災害警戒区域のため防災上のリスクがあり、中心市街地から離れているためアクセスにも難があります。

ふるさと学習・資料館は廃校となった小学校を再利用

埋蔵物や民具などが展示されている


以上3施設はそれぞれの距離が離れているため管理がしにくく、建物が老朽化しているため管理状態は決して良いとは言えません。残念ながら「魅せる施設」とは程遠い状況ですので、当然観光マップには載っていません。だから、人も訪れませんし、知らない市民が多いわけです。

※国宝、重要文化財等を保管するための収蔵庫等の然るべき設備は足利学校や市立美術館などにありますが、収容量や災害リスクなどの課題もあります。
□令和2年第1回定例会(3月)(史跡足利学校等の防災・防火対策)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=2325

この状況に対し、市は何もしてこなかったのか。

実は足利市にも「博物館計画」がありました。

市立美術館がオープンした平成8年、市は「展示施設準備室」を中心に、当時施行中の「大日東土地区画整理事業」のエリア内に博物館の整備を計画していました。現在、鑁阿寺の東に観光臨時駐車場として使用されている砂利の空き地がその候補地です。同年、議会に「(仮称)足利市立歴史博物館建設基本計画」が提出され議論をした議事録もあります。しかしこの計画は市民の反対もあり停滞をしてしまいます。
その後、市長が3度変わり、景気の悪化、人口減少に伴う税収減により博物館計画の優先順位は下がり、実質凍結状態に陥りました。議会での議論も当時より少なくなっていますが、歴史博物館の重要性を求める議員によって現在も訴えは続いています。

大日東土地区画整理エリアにポッカリと空いた土地

さて、ここで他の自治体の状況について考えていきましょう。
どこのまちにも博物館はあるのでしょうか。

近隣の両毛6市では歴史博物館のようなものは以下の通りです。

佐野市  ○佐野市立郷土資料館
太田市  ○新田荘歴史資料館
桐生市  ○黒保根歴史民俗資料館
館林市  ○館林市立資料館
みどり市 ○岩宿博物館

合併により小規模自治体が持っていた小規模な博物館も含みますが、ほとんどが同様の施設を保有しています。本市ゆかりの足利氏関連では栃木県さくら市、茨城県古河市も博物館を有しています。

ではなぜ、自治体は博物館を作るのかその意義について考えていきたいと思います。

つづく...

【過去議事録】
□令和2年第1回定例会(3月)(史跡足利学校等の防災・防火対策)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=2325
□平成31年第1回定例会(3月)(歴史や文化財の活用)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1941
□平成30年第3回定例会(9月)(文化財保存・展示施設)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1874
□平成29年第2回定例会(6月)(歴史文化財保存・展示施設)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=1233
□平成28年第2回定例会(6月)(文化財の展示施設・閲覧システムの整備)
http://sueyoshi-toshihiro.com/?page_id=779