足利市の中心部である昨年国宝に指定された鑁阿寺(通称・大日様)周辺では区画整理が進められています。

区画整理と言っても、空き地の活用、防災、開発などその目的は様々です。特に鑁阿寺周辺は昔からの土地割りが残る場所も多く、車が入れない道や、廃墟となった民家も散見されます。
もちろん、それが「風情があって良い」という意見もあります。個人的には好きな風景ではあります。

さて、12月9日の定例市議会一般質問に対して、休止状態であった鑁阿寺周辺の区画整理事業を再開するとの意向が示されたとのニュースがありました。

【下野新聞】
http://www.shimotsuke.co.jp/…/ashikaga/news/20141210/1803030

良い機会ですので、鑁阿寺周辺の区画整理というものを一度整理したいと思います。
まず事業自体は全部で3つあり、それぞれ主な目的が違います。

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■大日東土地区画整理事業
主な目的/足利学校や鑁阿寺への玄関口としての観光開発(景観整備)
予算/22.5億円(国庫支出金0円)
進捗状況/施工中・平成31年完了予定

■大日西土地区画整理事業
主な目的/防災性の向上と市街地活性化
予算/60億円(国庫支出金10.9億円)
進捗状況/事実上休止中

■中央地区画整理事業
主な目的/市街地活性化
予算/45億円(国庫支出金13.3億円)
進捗状況/事実上休止中

※目的は複合的ですので上記以外の目的もあります。
※地図は大まかなもので、正確な地図ではありません。

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ちなみに「まちなか元気市」を行っている場所(蝶やさん横)は区画整理で空き地となっている場所です。その空き地を有効活用し活性化に役立てようと始まったのが「まちなか元気市」です。現在は映画「バンクーバーの朝日」のセットが展示されています。

話は戻りますが、大日東はだいぶ進んでいますが、西と中央は休止状態です。その理由は予算不足や地元住民の反対によるということです。
特に西の反対運動は今でも掲示してある「区画整理反対!」の看板を見るとよくわかりますが、「反対者はごく一部だ」との話も聴きます。

西と中央の区画整理がはじまったのは平成17年からなので、もう間もなく10年目を向かえます。その頃とは足利を取り巻く経済状況や、住民の世代にも変化が出ていると思われます。それを好機と捉えた決断かもしれません。

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足利の顔である足利学校・鑁阿寺周辺が休止した区画整理のおかげで「歯抜け状態(空き地が点在している)」で、廃墟が多い状況は好ましくはありません。廃墟は犯罪の誘発や火災の発生を招きます。空き地は観光地としての景観を損なうだけでなく、市民のまちに対するマインド(誇り?)を劣化させます。

「区画整理をすることで」→

●観光地としての魅力を向上し観光客を増やす。
●映像のまちとしてのブランド力の向上、ロケの誘致を増やす。
●防災、防犯を進める。
●中心市街地の活性化、経済の活性化を進める。

このように目的と手段、そして大局的な視点をわかりやすく説明することでこれらの事業は賛同者も増えていくと思います。

反対意見ももちろんあるとは思います。エリア策定や価値の高い建物などに関しては計画を見直す必要もあると思います。

「総合的に見て市民にとってプラスかマイナスか」それを決断することがリーダーの役目だと考えます。

何も決断せずに、問題を先送りにすることほど市民にとって不幸なことはないのではないでしょうか。
そうこうしているうちに、時代はどんどん先に進んでいきます。