今回は10月12日・13日と本市を襲った台風19号の経験から、12月議会で議論し提言してきた内容についてご紹介いたします。議会では取り上げなかったものもありますので、長丁場となりますが、どうぞお付き合いください。

□関連する末吉の一般質問録画配信

第1回は情報です。台風が上陸した12日の夕方頃からSNSのタイムラインには「足利市の情報が少ない」といった書き込みが目立ち始めました。確かに公式Twitterも15:47の投稿から17:25の投稿までの1時間半、18:00から21:32までの3時間半と情報発信がなされない時間が長く続きました。21:33から翌朝8:28に至っては11時間も更新はありませんでした。こうした情報不足の中、市のホームページはアクセスしにくい状況に陥り、SNSのタイムライン上では「●●の避難所が開設されたらしい」「どこに避難すればいいの?」「○○が通行止めらしい」など、様々な書き込みが飛び交いました。また、今回は水門の開閉に関する情報も届かなかったことも問題となっています。市民が最も不安な時間帯に、欲しい情報を適切に届けることができなかったわけです。この点については市も課題として認識しています。
 

決壊した堤防近くの出流川水門

 
今回の一般質問では、この原因を洗い出し改善策を提案させていただきました。
 
■足利市の情報収集と発信の仕組み
まずは収集です。被害の情報は様々なところに集まってきますが、中心となるのは消防の通報(119)です。今回は通常の倍の人員で対応しましたが、それでも2日間で500件を超える通報がありました。また、119が繋がらないため、消防署の電話に直接問い合わせ等がきていました。職員は、食事はもちろんトイレにも行けない中で何時間も対応し続け、的確に処理することができなくなってきました。車両も出払い通報を受けても対応できない状況が続き、やがて合計9台の消防車両が水没などにより使用不可能になっていきます。
危機管理課でも市民からの問い合わせ、庁内各課や関係団体との連絡で、こちらも電話が鳴り続け対応に追われます。情報の精査もできずに、同じ方から「まだ対応できないのか」といったお叱りも受けていたようです。
 
続いて発信です。その手段はいくつかありますが、それぞれ発信する担当部署が違います。

◎SNS、ホームページ=秘書広報課
◎消防防災メール=消防本部
◎エリアメール=危機管理課

 
平時の使い方や目的が違うので仕方ありませんが、それぞれから発信される情報の中身が微妙に違っていたり、その頻度が少なかったりで、市民の方が不安に感じることがありました。
特に災害対策本部が設置された今回の様な非常事態では、ホームページがアクセスしにくくなることは容易に予想されます。東日本大震災のとき同様、頼りになるのはSNSです。足利市も公式アカウントがありますが、こちらが十分に活用されなかった理由を確認したところ、「避難情報等の生命に関わる情報を精査し発信する体制ができていなかった」とのことでした。詳しく確認すると、SNSを管轄する秘書広報課は災害対策本部から降りてきた情報しか発信できず、積極的な発信ができなかったようです。
また、災害対策本部が設置された際、秘書広報課だけでなく他の課と「情報班」を組織し、情報収集と発信を行うことになっていましたが、これも機能を発揮できなかったようです。
 

発災当日の足利市公式Twitter

 
■末吉の提案
1.情報発信体制の整備
副市長からも前向きな答弁がありましたが、情報発信専門職員の配置は有効です。更に発信する情報の確認を簡略化し、災害対策本部の動きを待つのではなく情報班から積極的に発信できるように権限を調整します。また各課と必ず繋がるホットラインの形成も重要です。収集体制の整備は消防編でお伝えします。
 
2.水門開閉情報の収集
水門、樋門開閉情報を市に的確に届ける仕組みを構築します。啓発として水門に関する基礎知識や逃げ時についても、住民に周知します。市も改善する意向はあるようです。
 
3.情報過多への対応
情報が多くなると、消防防災メールの様に直接市民に関係のない河川(鬼怒川等)情報が届いたり、文章が長くなったりと、自分に必要な情報を見つけ出せなくなる心配もあります。できるだけ読み手に伝わりやすい情報量を心掛ける視点も必要です。消防防災メールについては県に提言する旨の答弁がありました。
 
いずれにしても、災害時の公式が発信する情報は非常にも重要です。今回の経験を糧に情報収集・発信体制を立て直せるよう、今後も議論して参ります。
 
つづく…