消防本部は昭和44年3月に竣工しました。鉄骨鉄筋コンクリート造3階建で、建築後48年を経過し、雨漏り、電気配線や給排、水管の老朽化が進んでいます。もちろん旧耐震基準のため、大規模な地震の際に防災拠点としての機能を果たせない恐れもあります。また、車庫にシャッターがない、着替えスペースが無く車両の後ろで排気に晒されて防火服を着ている、女性専用トイレが不足している、仮眠室が相部屋で感染症リスクが高い、全体的に狭隘であるなど多くの課題を抱えています。
今後、修繕しながら維持していくことは困難な状況であることから、早期に建替えが必要とされてきました。

シャッターのない車庫

車両後部で排気を浴びながらの防火服着用

2017年には基本構想・基本計画が策定され、
①現地での建替え方針
②事業費概算が約20億円
③2021年完成予定
などが見えてきました。
□足利市消防庁舎整備基本構想 消防本部・中央消防署新庁舎整備基本計画
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/u…/attachment/45292.pdf

そして、この問題を議会の中心で議論してきたのが「市民会館等公共施設検討特別委員会」です。私も理事を務めておりましたので、深い議論をさせていただきました。そのなかでもネックとなったのは【消防本部の規模と位置】です。保健センターと医師会館が移転することで、現在の土地を大きく利用することができます。しかし現状では大正町自治会館が中心部にあり、位置の選択肢が狭まってしまいます。そこで議論の末、地元のご理解をいただき、曳家で北東部へ移動していただくことになりました。

敷地の配置イメージ


また、本市財政を維持するために「2055年までに40~50%の延べ床面積を削減する」という大きな目標を掲げている以上、過大な施設は必要ありません。本市の防災拠点としての機能を発揮できる最小限の施設になるよう、細かいところまで議論をさせていただきました。敷地面積は使用可能な公共用地で大きく増えましたが、大規模災害時には援助物資貯留場所や自衛隊の拠点として、また周辺イベントや施設の駐車場としてもフレキシブルな使い方ができます。延床面積も増加しましたが、狭隘が問題となっておりましたので、許容範囲に収まったと考えています。

曳家で移動していただく大正町自治会館

■延床面積(付帯施設込)
旧消防本部/2212㎡
 → 新消防本部/2938㎡(726㎡増)

■今後のスケジュール
2019年10月 自治会館移転工事開始(翌年2月完了)
12月 旧保健センター解体完了、本体工事開始
2021年3月 新庁舎完成(年度内※緊防債期限)
4月 新庁舎供用開始 →翌年まで付帯施設建設工事
5月 現庁舎解体・駐車場整備開始

いずれにせよ、議会が災害・火災対策拠点の計画に深く携われたことは、本市公共施設運営にとって大変に重要なことだったと認識しております。ただ、当局が提案してくる案件を追認するだけではなく、議員が自ら仕入れた市民の声、多角的な情報をもとに積極的に代案を提供することこそ、議員の大切な仕事であります。
これからは目に見える形で工事が進んでまいります。もし現場の前を通ることがありましたら、様子をご覧になりながら公共施設のこれからを考えてみてはいかがでしょうか。

公開された新消防本部イメージパース