さて今回が最終回です。
 
私がその1で述べた『条件付きで賛成』の立場について、その条件をお話しします。
 
それはシンプルに2点、『説明』『結果』です。
 
■条件1『説明』
これだけ注目を集めている事業にもかかわらず、その目的や経緯など市民に対する説明が十分ではありません。情報は新聞などのメディアを通したものがほとんどで、市広報「あしかがみ」にもほとんど掲載されていません。
この事業に関する説明不足が、市への不信感や反対につながっている大きな要因だと考えます。
 
「何のための事業なのか」
「私たちの生活にどう影響するのか」
「どんな将来ビジョンを描いているのか」
 
それをわかりやすく、積極的に伝える努力をすべきだと考えます。将来の足利にとって必要不可欠で、経済も活性化し、雇用も生まれ、市税も増える事業だと考えているのであれば、そのビジョンを市民に示すべきです。動画、パンフレット、ポスター、広報誌、様々な手法を駆使して広報に努める必要があります。
JR東日本や栃木県とも連携をし、地元住民の皆様へのご理解もいただかなくてはいけない相手方のいる事業です。慎重にならざるを得ない部分もあるかもしれませんが、出せる情報、データ、ビジョン、理念などはしっかりと出すべきです。
これが第一の条件です。
 

 

■条件2『結果』
これはどの政策においても求められる当然のことです。しかし前提として行政の政策における『結果』は、とても多様な判断基準があります。つまり民間と違い「売上が上がれば結果を出した」という比較的単純な物差しでは測れないということです。例えば道路を一本通す事業でも、交通量は増えたのか、経済波及効果は上がったのか、騒音などで住民から不満は出ていないか、渋滞問題は出ていないかなど多角的な物差しで総合的に評価されるという特徴があります。
さて、今回の新駅事業の求められる『結果』は、市が示した『目的』の達成にあります。以下が議会に対して説明のあった新駅の目的です。

①東部地区の開発
②渋滞の解消
③県南の観光活性化
④市中心部への観光客の回遊
 
全て大切ですが、特に①と②はしっかりとした結果が求められます。
①の場合、どういった手順で道路を通すのか、都市計画を変更していくのか、企業を誘致していくのか、そういったグランドデザインとそれを裏打ちする勝算が必要です。また地域や関係者とも調整を行い、事業計画なども提示すべきです。
 
②は短期的に結果に表れやすいため、こちらも早急な計画策定が求められます。3月議会でも提言した通り、駅だけでは渋滞問題は解消しません。混雑のポイントとなる交差点の改良(右折レーンや右折矢印信号の整備等)や、駐車場誘導員の体制強化、パークアンドライド・パークアンドバスライドの導入など、多様な対策を同時進行で進めるべきです。特にパークアンドライド・パークアンドバスライド(以下PR・PBR)の導入は、来年4月の新駅開業までに間に合わせるべきだと考えます。
 
PR・PBRは混雑する観光地に直接マイカーで乗り入れず、離れた駐車場に車を停めて、そこからバスや電車などの公共交通で観光地へ向かうシステムです。国内では初詣時期の伊勢神宮が有名で、県内では日光市が2年連続で試験的に導入し、市の推計では最大6kmの渋滞緩和効果があったとしています。 

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いずれにしても費用対効果を考えるならば、市の持ち出し分約10億円に見合った効果をだしてもらわなければいけません。
観光客増加、道路の開通、都市計画の変更、農振農用地の除外、企業誘致などによりどれくらいの経済効果、雇用拡大、税収増加のビジョンを描いているのか。渋滞解消により損失されていた経済効果がどの程度戻ってくるのか。そういったことをわかりやすい数字で示し、それを『結果』として市民にお返すすることが求められます。
 
今後も議会として示した付帯決議の趣旨に則り、2点の条件をしっかりと求めてまいります。
 
この事業に関しては様々な意見があることは承知です。あらためて言いますが賛成をした以上、特に重要な案件に関してはその理由を示すことが【議員の責務】と考えます。
ご意見がありましたら何なりといただければと思います。
 
全4回にわたりお付き合いいただき、誠にありがとうございました。